おむすびころりん
昔々、あるところに、やさしいおじいさんと、おばあさんがいました。ふたりは山のふもとの小さな家に住んでいて、毎日なかよくくらしていました。
ある日、おじいさんが山へしばかりに行く前に、おばあさんがふっくらとにぎったおむすびを、風呂敷につつんで持たせてくれました。
「山でひとやすみして、これを食べておくれね」
「ありがとう、ばあさん。いいにおいじゃ」
山のてっぺんまで登ったおじいさんは、大きな木の下に腰をおろして、おむすびをひとつ取り出しました。すると、つるりん!
「おっとっと!」
おむすびが手からすべって、ころころころころ、坂道を転がっていきました。
「まてまて、おむすびや〜!」
おじいさんはあわてて追いかけましたが、おむすびはどんどんころがり、やがて大きな木の根元に開いた、ぽっかりとした穴に、ぽとんと落ちてしまいました。
「あらまあ、どこへ行ったんじゃろう」
おじいさんが耳をすますと、穴の中から、たのしそうな声が聞こえてきました。
「おむすび ころりん すっとんとん♪」
ふしぎに思ったおじいさんは、穴の中をのぞいてみました。すると、するする〜っと体がすべって、おじいさんも穴の中へ。
そこには、ねずみたちがたくさんいて、小さな家のようなところで、おむすびをわけあって食べていました。
「まあまあ、ようこそ。おじいさん、おむすびをありがとう!」
「えっ、わしのおむすびを?」
「はい、おいしくいただいております。お礼に、歌とおどりを見ていってくださいな」
ねずみたちは笛や太鼓でにぎやかにうたい、おじいさんのまわりで、くるくるおどりはじめました。
「おむすび ころりん すっとんとん♪ ころころ ころんと たのしいね〜♪」
おじいさんは手をたたいて笑いながら見ていました。
「さあ、おじいさんには、お礼にこれをさしあげましょう」
ねずみたちは、きらきら光る宝物がつまった小さなつづらを持ってきました。
「こ、こんなにたくさん……ありがとう、ねずみさんたち」
「また来てくださいね!」
おじいさんはつづらをかかえて、するするっと地上へ戻りました。
家に帰ると、おばあさんにその話をして、ふたりで宝物を見てびっくり。中には小判やま肝の、きれいな着物まで入っていました。
それを見ていたのが、隣にすむ、いじわるなおじいさんでした。
「なにぃ? おむすびを落としたら、宝物がもらえたとな?」
次の日、いじわるじいさんは、自分もまねをしておむすびを持って山へ行きました。
「よし、ここで落とすのじゃ」
わざとおむすびを転がすと、それは同じように穴に落ちました。
「ふふふ、今度はわしの番じゃ」
いじわるじいさんも穴に飛び込みました。
中にはねずみたちがいて、おなじように歌とおどりを見せてくれましたが、いじわるじいさんは、
「そんなのいらん! 早く宝物をよこせ!」
と、大きな声でどなりました。
すると、ねずみたちはこわがってにげてしまい、かわりに大きなつづらを出してきて、
「どうぞ、これをお持ちください」
いじわるじいさんは、にやりと笑ってつづらをかかえて地上に戻りました。
「わっはっはっ、これでわしも大金持ちじゃ」
家に帰って、さっそくつづらを開けると……
「ぎゃあああ!」
中からはヘビやカエル、おばけのようなものがどっと飛び出してきて、いじわるじいさんは腰をぬかしてしまいました。
それからというもの、いじわるじいさんは、すっかりしょんぼりしてしまい、にこにこしたやさしいおじいさんに、すこしだけやさしくなったということです。
おしまい。
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- おむすびころりん-日本
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