聞き耳頭巾
昔々、ある山里に、まじめで心のやさしい男が住んでいました。男は貧しいけれど、人に親切にし、毎日をまじめにくらしていました。
ある日、男は山へ木を切りに行くと、ふと、道ばたにちいさなタヌキがケガをして倒れているのを見つけました。
「おやおや、大丈夫かい?」
男はそっとタヌキを抱きあげ、やぶくすりで手当てをして、元の場所へ返してやりました。タヌキはぺこりと頭を下げて、うれしそうに森へ帰っていきました。
それからしばらくたったある夜のこと。男が山道を歩いていると、どこからか声が聞こえてきました。
「おーい、おーい!」
ふしぎに思って声のほうへ行くと、大きなフクロウが木の枝にとまって、男を見つめています。
「このあいだ、けがをしたタヌキを助けてくれてありがとう。そのお礼に、これをやろう。」
そう言って、フクロウはふしぎなずきんを男にくれました。まっ赤で、耳の部分がとがっている、なんとも変わったずきんでした。
「これは“ききみみずきん”というんだ。このずきんをかぶると、人や動物の心の声や、話していることが何でも聞こえるんじゃ。」
男はおどろきながらも、お礼を言ってずきんをもらい、大事に持ち帰りました。
次の日、男はおそるおそる“ききみみずきん”をかぶって、村の中を歩いてみました。するとどうでしょう。道ばたのネコがこんなことを言っているのが聞こえました。
「おとなりの奥さん、きのうの夜、まんじゅうをひとりじめして食べちゃったのよ。」
男はびっくり! ネコの言葉がわかるなんて!
さらに、となりの家の犬がこう言いました。
「ご主人は今朝、大事な財布を井戸のそばに落としたのに、まだ気づいてないんだ。」
男がその井戸のそばに行くと、ほんとうに財布が落ちていました。男はそれを拾って、犬のご主人に届けてあげました。
それからというもの、男はずきんをかぶって、いろんな人や動物の心の声を聞くことができるようになりました。落としものを見つけたり、人の困りごとを先に知って助けてあげたりして、村のみんなからとても感謝されました。
ある日、男は街へ出かけました。街ではお金持ちのおじいさんが、大事な宝物をなくして大さわぎしていました。男はそっと“ききみみずきん”をかぶり、人ごみのなかで耳をすませました。すると、二人組の男たちの声が聞こえました。
「まさか、あのじいさんの宝物をうらの井戸にかくしたなんて、だれにもバレてないよな。」
「へっへっへ。しばらくしたら、こっそり取りに行こうぜ。」
男はすぐにおじいさんにそれを伝え、街の人たちといっしょにうらの井戸を調べました。すると、たしかに宝物が出てきました。盗んだ男たちも見つかって、ちゃんとつかまりました。
おじいさんはとてもよろこび、「あなたのおかげで助かりました。どうぞ、このお礼を受け取ってください。」と、たくさんの金貨を男にわたしました。
こうして男は、“ききみみずきん”の力を使って、たくさんの人を助け、村でも街でもみんなから愛されるようになりました。でも男は、ずきんの力にたよりすぎず、いつでも自分のやさしい心をたいせつにしながら、まっすぐに生きていきました。
そして、だれよりもしあわせにくらしたということです。
おしまい。
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- 聞き耳頭巾(ききみみずきん)-日本
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