Onedollar Wanderer

力太郎

ちからたろう
力太郎は、日本の物語です。とても有名な童話です。

とんと昔、それはもう、まずしい じいさまとばあさまがおった。ふろなぞ めったに入れんもんだから、体中こんびだらけであった。

ある日のこと、じいさまが言った、

「わしらには、もう、子供はできねえ。せめて、2人のこんびでも落として、人形でもこさえるべや・・・ 」

ばあさまが言った、

「まっ黒けじゃが、かわええ。こんび太郎と名づけましょ。」

ばあさまが、まんまをやると、こんび太郎は、いきなり手をのばし、ぱくんと食ってしまったので、2人は、たまげながらも、大喜びして、どっさりとまんまをやった。

こんび太郎は、食えば食うだけ大きくなったが、ほぎゃあとも言わず、ねたまんまであった。

ある日のこと、こんび太郎は、百貫目の金棒をつえに立ち上がると、見上げるようなでかい若者になったので、じいさまは、びっくりして、

「ふわっ!こらま、すげえ力だ。こりゃもう、こんび太郎でのうて、力太郎じゃ!」

力太郎はこたえた。

「おら、これから旅に出て、この力が どんくらい人の役に立つか、ためしてみてえ。」

さて、力太郎が街をめざして行くと、向こうから道いっぱいになるほど大きな「みどう」をかついでくるものがおる。

「これじゃ とおれん」と力太郎が、金棒でみどうをひとつきすると、どんがらりんと音立ててこわれてしまったので、男はまっ赤になり、

「やい、やい、やい!、日本一の力持ち、みどうっこ太郎をしらんのか!」

力太郎は、つかまれた金棒をだまって、ぶん回すと、男は空高く、はねとばされていった。

そのまんま、待っても待っても落ちてこんかったが、ずいぶんとたって小声で、「たすけてくれよう」というのが聞こえ、見回してみると、やれやれ、そこいらで一番高い松の木のてっぺんに ひっかかっておった。

力太郎は、その松を根っこぐるみひっこぬいて、おろしてやった。

みどうっこ太郎は、ためいきをつき、

「どうか、いっしょに たびをさせてけれや」とたのんだ。

しばらくして、向こうから、大きな石を ごんごろ、ごんごろ、ころがしてくるものがおる。

「あやあ、あのまんまじゃ、ほかのものに ぶつかるが・・・」

力太郎は、ころがってきた大石を、金棒でがちんとうけとめ、「これ、いたずらすんなって」言いながら、つんとけると、石は、男にまともにぶつかったので、男はおこったのなんのって、

「おらのことを、日本一の力持ち、石こ太郎と知ってやったことか!」

力太郎は、石こ太郎の首ねっこをつまんで、ぽいとぶんなげると、石切場の石くずの中に、首までうずまってしまい、やっとこすっとこ はい出た石こ太郎も、いっしょにたびをさせてくれるよう、たのんだ。

さあ、こんどは3人になって、のっしじゃんが ずしん、のっしじゃがんが ずっしんと行くと、とうとう大きな街についた。

ところが、まっぴるまというのに、街には 人っ子ひとり見あたらん。・・・3人は街中を、ずいずいずいと見てまわると、街一番の長者どののやかたの前で、むすめがひとり、うずくまっていた。

「あねこ、あねこ、なして、ないておるのか?」と聞くと、

「ばけものが おっかねえからです」

「ばけものだと?」

「はい、それが大きな大きなばけもので・・・」

「ええとも、ええとも、おらたち3人で、たいじしてやっから、なくのをやめて、家に入れてけれ」

やがて夜になると、なにやら黒いけむりが、あたりをもわんとつつみ、わやわやとうずまくと、その中から、街中に聞こえるような声がした。

「むすめは よういしとろうな!ぐはははは!」

それから山の向こうからどえらい地ひびきを立てながら、そいつが ぬっくと姿をあらわした。

みどうっこ太郎が、ずんとぶつかっていったが、ひょいとつまみあげられ、ずぼんと のみこまれてしまった。 石こ太郎がつづいてとびだし、組みつこうとしたが、これも何もできんうちに、げろんと のみこまれてしもうた。

そこで力太郎が、すっくと立ち上がり、

「ようし、こんだあ、おらが あいてだぞ!」

ばけものは、力太郎の金棒をつまむと、あめみたいにまげてしまった。

「そんなら、取っ組み合いだあ!」

2人は、えんさわんさ、さんざんもみおうたが、かちまけがつかん。どうも、力太郎のほうがあぶない。

これじゃいかんと思うた力太郎は、いきなりあいてを下から けりあげた。

「んぎゅっ、むうっ」

そいつは、ぶはっと みどうっこ太郎と石こ太郎をはきだすと、ぼかぼかぼかっと、きえてしもうた。

こわごわようすを見ていた街のものも、大よろこびで、出てき、長者がすすみ出て、

「おかげさまで・・・、おれいには、何がよいじゃろうか?」3人は顔を見合わせ、ふっふとわらい、

「そうじゃなあ、一番でっかい かまいっぱい、まんまをたいてけろ」

力太郎は、たすけたむすめといっしょになり、じいさま、ばあさまをむかえた。あとの2人も、村のむすめといっしょになり、そこで、ずうっとくらしたそうな。

おしまい。

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力太郎(ちからたろう)-日本