「カナダの雪男」(Canadian Snowman)-カナダ
昔々、カナダの広大な雪原に、一人の不思議な存在が住んでいました。
その存在は「雪男」と呼ばれ、誰もその姿を見たことはありませんでした。
しかし、雪の降る寒い夜、村人たちは時折、深い雪の中に不思議な足跡を見つけることがありました。
それは普通の人間のものではなく、かなり大きく、長い足跡でした。
村人たちはその足跡に恐れを抱きましたが、雪男の正体を確かめる者は誰もいませんでした。
ある日、村の少年ジャックが、その雪男の足跡を追いかけることを決心しました。
彼は村の外れに住むおじいさんから、「雪男は森の守り神だ」と聞いたことがありました。
おじいさんによれば、雪男は人びとを助け、森を守る存在であるというのです。
ジャックは寒さをしのぎながら、雪男の足跡を辿っていきました。
深い森の中、雪は一面に広がり、木々の間に静けさが広がっていました。
歩き続けるうちに、ジャックは不意に、木の陰から大きな影を感じました。
ふと目を向けると、そこには巨大な雪男が立っていました。
雪男は体が白い毛で覆われ、大きな目が優しく輝いていました。
彼はジャックを見つけると、驚くことなく静かに微笑みました。
その姿にジャックは少し怖さを感じましたが、同時にその目の中に温かさを感じました。
「君は雪男だね?
」ジャックは恐る恐る尋ねました。
雪男は静かにうなずきました。
「私はこの森の守り手。
雪と氷の精霊だ。
人びとがこの地に暮らす限り、私はここで静かに見守っている。
」
ジャックは驚きましたが、雪男が優しく語りかけてくれるのを聞き、少し安心しました。
「でも、どうして僕たちの村には出てこないんだい?
村の人びとは雪男を怖がっているんだ。
」ジャックは尋ねました。
雪男は深く息をつき、答えました。
「私は人びとが恐れないように、できるだけ姿を見せないようにしている。
だけど、もし君のように心が純粋で優しければ、私は現れることができる。
私が現れるときは、誰かを助ける時だ。
」
ジャックはその言葉に驚きました。
「助ける時?
」
雪男はゆっくりと頷きました。
「そうだ。
実は、今年は特に寒さが厳しく、雪が積もり過ぎて、村の人びとが困っていることを知っている。
君たちがこれ以上寒さに苦しむことがないように、私が助けてあげよう。
」
ジャックは胸を躍らせました。
「本当に?
」
雪男は大きな手を伸ばし、空に向かって手を掲げました。
すると、彼の周りに冷たい風が舞い、雪が一層深く降り積もりました。
その瞬間、ジャックの目の前に温かい光が現れ、雪男はその光を手に取ると、村の方へ向かって歩き始めました。
雪男が光を掲げると、雪はどんどんと溶け、村に温かい風が吹き込んできました。
村人たちはその風に包まれ、寒さが和らいでいくのを感じました。
翌朝、村の外は不思議なことに、雪が少なく、雪原が乾いていました。
村人たちは「雪男の奇跡」と呼び、その後、恐れることなく雪男の存在を受け入れるようになりました。
ジャックは雪男と再び会うことはありませんでしたが、彼の伝説は村で語り継がれ、寒い冬の夜には、雪男が守ってくれていることを皆が信じるようになりました。
そして、今でもカナダの雪深い森には、雪男が静かに暮らしていると言われています。
雪が降る夜には、森の中で雪男が村を見守っているのかもしれません。
おしまい。
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