「カラスと商人」(The Crow and the Merchant)-トルクメニスタン
昔々、トルクメニスタンの小さな村に、ひとりの商人が住んでいました。
商人の名前はアリ。
彼は毎日いちばで様々な商品を売り、少しずつお金を貯めていました。
アリは商売が得意で、村の人びとにも信頼されていましたが、彼には一つだけ困ったことがありました。
それは、彼が毎日いちばに持って行く食べ物をカラスが狙うことだったのです。
いちばの周りには木々が立ち並んでいて、カラスたちがその枝に止まり、アリが持ってきた果物やパンを狙っていました。
毎朝、アリはいちばに着くと、カラスが自分の荷物を覗き込み、食べ物を盗むのを見てはため息をついていました。
ある日、アリは決心しました。
「これ以上カラスに食べ物を取られないように、何か対策を考えなければ。
」
次の日、アリはいちばに行く前に特別な準備をしました。
彼は袋に少しの麦を入れ、カラスたちの好きな食べ物を準備して持って行きました。
アリはカラスたちがやって来るのを待ちました。
すると、カラスたちが木の枝から飛び降りて、アリの周りに集まりました。
「おい、商人さん、今日は何か美味しいものを持ってきたか?
」とカラスたちは興味津々に尋ねました。
アリは微笑みながら、袋から麦を一粒一粒取り出して、カラスたちに与えました。
「今日は特別に、君たちのためにこの麦を持ってきたんだ。
でも、お願いだ、私の食べ物には手を出さないでくれ。
」
カラスたちは麦をもらうと、満足そうに鳴きながら言いました。
「ありがとう、商人さん。
君はとても優しいね。
でも、君の食べ物にはどうしても手が出てしまうんだ。
」
アリは少し考えました。
「もし君たちが私の食べ物を取らなければ、もっとたくさんの麦を持ってくるよ。
でも、その代わり、私の食べ物には手を出さない約束をしてくれ。
」
カラスたちはその提案に興味を持ちました。
「本当にもっと麦をくれるのか?
それなら、私たちは君の食べ物を取らないようにするよ。
」
アリはその約束を信じ、毎日いちばに来るたびにカラスたちに麦を与えました。
そして、不思議なことに、カラスたちはアリの食べ物には手を出さなくなり、彼のいちばの店番をしている間も静かに待っているだけでした。
日が経つにつれて、アリはどんどんお金を貯め、商売も繁盛しました。
カラスたちは毎日麦をもらって幸せそうに過ごしました。
アリはいちばでの商品を売り終えると、またカラスたちに麦を与えてから家に帰ることが習慣になっていました。
そしてある日、アリはカラスたちに言いました。
「君たちのおかげで、私はこんなにも豊かになった。
ありがとう。
」
カラスたちは嬉しそうに羽を広げて言いました。
「商人さん、私たちも君のおかげで、毎日美味しい麦を食べられて幸せだよ。
君はとても賢くて、優しい商人だね。
」
その後、アリとカラスたちは良い友達となり、村の人びとにもその話は広まりました。
アリの商売はますます成功し、カラスたちも毎日幸せに暮らしました。
そして、アリは一つ大切な教訓を学びました。
それは、他者に優しさを示すことで、思わぬ友情が芽生え、長い目で見ると自分にも良いことが返ってくるということでした。
おしまい。
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