Onedollar Wanderer

「クルピーラ」(Curupira)-ブラジル

クルピーラはブラジルの物語です。

昔々、ブラジルの広い広い森の中に、「クルピーラ」というふしぎな精霊が住んでいました。

クルピーラは、オレンジ色の髪を持ち、目はキラキラと赤く光り、何よりも不思議なのは「足のかかとが前を向いている」こと。森に入ってくる人をまどわせるため、あえて足跡が逆になるようにできているのです。

クルピーラは人間にはめったに姿を見せません。でも、森の動物たちにとっては、大切な友だち。誰かが木をむやみに切ったり、動物をいじめたりすると、クルピーラはすぐに気づいて、こらしめにやってきます。

ある日、ひとりの男が森にやってきました。大きなナタを持って、木をバッサバッサと切り始めました。小鳥たちは泣き叫び、サルたちは木の上からその男をにらみました。

「森のルールをやぶってるぞ…」と、どこからともなく赤い光があらわれ、男の前にクルピーラが立ちはだかりました。

「ここは、わたしの守る森だ。木を切るなら、森の声を聞け!」

男はびっくりして、後ずさり。でも、自分の足跡がなぜか「森の奥」に向かって続いていることに気づき、帰ろうとしても、どんどん森の奥に迷いこんでしまいました。

夜になって、風がヒュウヒュウと吹くころ、男は木の根もとでぐったり座りこみました。そこへ、フクロウがそっと近づき、優しい声で言いました。

「クルピーラは、森を大切にする心を持つ人にはやさしい。ちゃんとあやまれば、道を教えてくれるよ。」

男はクルピーラの前でひざまずき、言いました。

「ごめんなさい。木を切る前に、森の声を聞かなきゃいけなかった。」

そのとき、ふしぎなことが起きました。男の足元に赤く光る葉っぱが落ち、それが道しるべのように続いていました。

男はその光をたどり、無事に森を出ることができました。それから彼は、森を守る仕事につき、村の子どもたちにクルピーラの話を語りつづけたそうです。

今でも森の奥では、クルピーラが動物たちを見守っています。もし森に行くことがあったら、木や草や小さな虫にも「こんにちは」と声をかけてください。きっと、クルピーラもにっこり見てくれますよ。

おしまい。