「ココナッツの起源」(The Origin of the Coconut)-ニューカレドニア
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昔々、南の島にタナという心やさしい若者が住んでいました。
タナは毎日、森や海へ出かけては、村のみんなのために食べ物を探していました。
ある日、タナが海辺を歩いていると、美しい娘が波間から現れました。
娘の髪は海のように青く、目は星のように輝いていました。
タナは驚きましたが、娘はやさしくほほえみました。
「タナ、わたしは海の精霊です。
あなたのやさしさをずっと見ていました。
もしよければ、毎日ここへ来てお話しをしてくれませんか?
」
タナはうなずき、それからというもの、毎日娘と海辺で過ごしました。
ふたりはすぐに仲良くなり、タナは彼女を深く愛するようになりました。
しかし、ある日、娘は悲しそうな顔で言いました。
「タナ、わたしはもうすぐ海へ帰らなければなりません。
でも、あなたのことをずっと忘れません。
」
タナは娘を引き止めようとしましたが、娘はそっと彼の手を握りしめると、波の中へ消えてしまいました。
それからというもの、タナは毎日海を眺め、娘のことを思い続けました。
食事ものどを通らず、体は日に日に弱っていきました。
そんなある夜、タナの夢の中に娘が現れました。
「タナ、どうか泣かないで。
あなたのそばにいつもいられるように、わたしは姿を変えるわ。
明日の朝、浜辺へ行ってみて。
そこにあるものを、大切に育ててね。
」
タナが目を覚まし、朝日が昇るころに浜辺へ行くと、そこには見たことのない不思議な実が落ちていました。
タナはその実を村へ持ち帰り、大切に土に埋めました。
やがて芽が出て、すくすくと育ち、背の高い木になりました。
その木には、娘のように美しい実がなりました。
タナはその実を手に取りました。
すると、殻の表面には、まるで娘の顔のような三つの模様がありました。
タナはそっと耳を近づけました。
、さあ、飲んでごらん。
娘の声が聞こえたような気がしました。
タナが実を割ると、中には甘い水が入っていました。
それは、まるで娘が自分の愛をタナに届けているかのようでした。
タナはその実を「ココナッツ」と名付け、村のみんなにも分け与えました。
村人たちはその実を食べ、木の葉を使い、幹を材料にして暮らしを豊かにしていきました。
そして今でも、ココナッツの実には、まるで誰かの顔のような模様がついています。
それは、海の精霊の娘が、愛するタナのそばにいたいと願った証なのです。
おしまい。
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