「コックと魔法の粉」(O Galo e o Pó Mágico)-ポルトガル
昔々、ある小さな村に、元気で賢いコックが住んでいました。
彼の名前はジョアン。
ジョアンは毎日、村の人びとに美味しい料理を作って喜ばせていました。
しかし、ある日、突然の出来事が起こります。
ジョアンがいちばで買い物をしていると、年老いた男が彼に近づき、「私は長い間、旅をしてきた魔法使いだ。
この粉を使えば、どんな願いもかなうだろう。
ただし、使い方には気をつけなさい」と言って、小さな袋に入った粉を手渡しました。
ジョアンはその魔法の粉を受け取り、興味深々で家に帰りました。
「こんな粉で本当に願いがかなうのだろうか?」と心の中で思いながらも、試してみたくなりました。
家に着いたジョアンは、その粉を少しだけ取り、鍋に入れてみました。
すると、驚くことに、鍋からはすぐに美味しそうなスープが湧き上がり、香りが部屋中に広がりました。
「すごい!
これは本当に魔法の粉だ!
」とジョアンはびっくりしました。
次の日、ジョアンはその粉を使って、村の人びとにもっと素晴らしい料理を振る舞おうと思いました。
村の広場に集まっていた人びとに、ジョアンは魔法の粉を使った料理をふるまいました。
そのスープやパンは、みんなが今まで食べたことのないほど美味しく、たちまち村の人びとはその味に感動しました。
「ジョアン、あなたの料理は魔法のようだ!
」と村人たちは大喜びでした。
ジョアンも嬉しくなり、もっとたくさんの人びとに料理を振る舞うことにしました。
しかし、だんだんと彼はその魔法の粉に頼りすぎるようになっていきました。
毎日のように村じゅうの人びとを招いて豪華な料理を振る舞うようになり、ついには村の広場が、ジョアンの料理を食べるために集まった人びとで溢れかえりました。
ある日、ジョアンが魔法の粉を使いすぎたためか、何かおかしなことが起こりました。
いつも作っていたスープやパンが、どんどん増えていくのです。
広場には次々と美味しそうな料理が現れ、止めることができませんでした。
村人たちは喜んではいましたが、やがてその量の多さに戸惑い始めました。
「こんなにたくさん食べられないよ!
もう止めてくれ!
」と誰かが叫びました。
ジョアンは急いで魔法の粉を使うのをやめようとしましたが、なかなか止められません。
ついに村の広場は料理で溢れ、何も見えないほどになってしまいました。
「どうしよう…こんなことになってしまった…」とジョアンは困り果てました。
すると、ふとあの魔法使いの言葉を思い出しました。
「使い方には気をつけなさい」と言われていたことを。
ジョアンは急いで魔法の粉を袋から取り出し、もう二度と使わないと決心しました。
そして、残りの粉を湖に投げ込み、粉が水の中に消えていくのを見つめました。
すると、広場の料理が次第に消えていき、村は元の静かな日常に戻りました。
ジョアンは、「魔法の粉を使わずに、自分の力で料理を作ることが大切だ」と心に誓いました。
その後、ジョアンは以前のように、村の人びとに心を込めて料理を作り続けました。
魔法の力ではなく、自分の努力と技術を信じることの大切さを学んだジョアンは、これからも素晴らしい料理を作り続けました。
そして、村の人びとは、ジョアンの料理に感謝し、彼を一層尊敬するようになりました。
おしまい。
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