Onedollar Wanderer

「コルクンバと魔法の馬」(Kërrkumba dhe Kali Magjik)-アルバニア

コルクンバと魔法の馬はアルバニアの物語です。

昔々、アルバニアの山あいの小さな村に、コルクンバという名の貧しい少年が住んでいました。家族もなく、毎日山の木を切っては町で売り、かろうじて暮らしていました。

ある日、いつものように山で木を切っていると、木の陰から苦しそうなうなり声が聞こえてきました。近づいてみると、1頭の馬が罠に足を挟まれていたのです。美しい灰色の毛並みに、大きな瞳。どこかただの馬とは違う、不思議な気配がありました。

「じっとしてて、すぐ助けるよ。」

コルクンバは持っていたナイフで罠を切り、馬を逃がしてやりました。すると、馬は立ち上がり、まっすぐコルクンバの目を見てこう言いました。

「お前の勇気と優しさに感謝する。わたしは魔法の馬。どんな願いも、ひとつだけ叶えてやろう。」

突然話し始めた馬に、コルクンバは驚きましたが、やがて静かに言いました。

「それなら、王様の娘を救いたい。山の魔物にさらわれてしまったんだ。」

馬はうなずきました。

「よい。私に乗って来い。魔物の城へ案内しよう。」

ふたりは夜を越え、風のように山を駆け抜け、ついに黒い岩でできた魔物の城にたどり着きました。

城は高くそびえ、門には火のような目を持つ石像が立ちふさがっていました。コルクンバが近づこうとすると、馬が耳元でささやきました。

「私のたてがみにある白い毛を1本抜き、空へ投げよ。そうすれば道は開かれる。」

コルクンバは言われたとおりにすると、不思議なことに石像は静かに目を閉じ、門が開きました。

中には、悲しみに暮れる王女が鎖に繋がれて座っていました。

「あなたは。助けに来てくれたの?」

「もちろんです。さあ、急いで。」

ちょうどそのとき、魔物が帰ってきました。体は岩のように大きく、口からは煙が立ちのぼっています。

「だれだ、わしの花嫁を盗む者は!」

魔物が怒鳴ると、馬が立ち上がって言いました。

「さあ、最後の魔法を使うぞ、コルクンバ!」

コルクンバが馬のたてがみにもう一度手を伸ばすと、馬の体が金色に輝き、空へと舞い上がりました。コルクンバと王女を背に乗せ、空を裂くようにして飛んでいきました。

魔物は吠えましたが、もう追いつくことはできませんでした。

王国に戻ると、王様はふたりを涙で迎えました。

「コルクンバよ、おまえの勇気と優しさに感謝する。娘を救ってくれたのだから、そなたに娘を、そしてこの国を半分託そう。」

けれどコルクンバは静かに言いました。

「私は王になるより、この馬と旅を続けたいのです。」

そう言って、魔法の馬とともにまた新しい冒険の旅に出たのでした。

人々は今でも語り継ぎます、風の音がする夜、空を駆ける一頭の馬と、その背に乗った心優しい少年の姿を。

おしまい。