「シームルグの羽根」(The Feather of Simurgh)-イラン
昔々、イランの広大な山々と美しい森が広がる土地に、シームルグという名前の伝説の鳥が住んでいました。
シームルグはとても大きく、長い翼を広げると、空を覆い尽くすほどの大きさを持ち、羽根は輝く金色に光っていました。
その羽根は、まるで太陽のように美しく、誰もがその羽根を一度見てみたいと思っていました。
しかし、シームルグはその羽根を誰にも見せることはありませんでした。
なぜなら、その羽根には特別な力が宿っていたからです。
シームルグの羽根は、心から純粋で善良な人びとの願いをかなえる力を持っていると言われていましたが、その羽根を手にするには、心の中で最も大切なことを見つけ出さなければならないと言われていたのです。
ある日、村に一人の若者が訪れました。
その名はアフメド。
アフメドはシームルグの羽根を探しに旅をする決心をしました。
彼は、村の人びとから聞いた話を信じ、羽根を手に入れれば、自分の大切な願いがかなうと信じていました。
「シームルグの羽根を手に入れれば、どんな困難も乗り越えられる。
」アフメドはそう思い、旅に出ました。
アフメドは山々を越え、川を渡り、森を歩き続けました。
しかし、どこを探してもシームルグの姿は見当たりませんでした。
彼は途中で何度も迷い、疲れ果てることがありましたが、そのたびに心を強く持ち続けました。
ある日、アフメドが大きな谷間を歩いていると、一羽の小さな鳥が彼の前に飛んできました。
小さな鳥は、アフメドに言いました。
「若者よ、シームルグの羽根を手に入れたいと思っているのですね。
しかし、シームルグの羽根はただの物ではありません。
それは、あなたの心の中で最も大切なものを見つけた者だけに与えられるのです。
」
アフメドはその言葉に驚きましたが、勇気を出して尋ねました。
「それでは、私がシームルグの羽根を手に入れるためには、どんな心の準備が必要なのでしょうか?
」
小さな鳥は静かに答えました。
「シームルグの羽根は、あなたが本当に望むものを手に入れる力を与えてくれますが、それにはあなた自身の心が純粋でなければなりません。
あなたが他人を思いやり、謙虚に生きることができれば、羽根はあなたの手の中に舞い降りるでしょう。
」
アフメドはその言葉を胸に刻み、再び旅を続けました。
彼は他人を助けることを心がけ、困っている人びとを見かければ手を差し伸べ、道を歩くときも他の生き物たちを大切にし、優しく接しました。
数ヶ月後、アフメドはついにシームルグの住むと言われる高い山にたどり着きました。
山の頂上に着いたとき、彼はとうとうシームルグに出会いました。
シームルグはその巨大な体を空に広げ、アフメドを見下ろしていました。
「あなたは長い旅をしてきた。
しかし、あなたの心の中で何を見つけたのだろうか?
」シームルグは優しく問いかけました。
アフメドは答えました。
「私はあなたの羽根を求めて旅をしてきましたが、今、私が最も大切だと気づいたことは、他人を思いやる心と、謙虚に生きることの大切さです。
」
シームルグはしばらく黙っていましたが、その後、ゆっくりと羽を広げ、金色の羽根の一枚をアフメドの手にそっと落としました。
「お前が本当に大切なものを見つけたようだ。
これが、シームルグの羽根だ。
これを大切にし、他人を思いやり、謙虚に生きなさい。
」シームルグはそう言い残し、空へと飛び去っていきました。
アフメドはその羽根を手に、大きな満足感とともに帰路につきました。
シームルグの羽根は、ただの物ではなく、彼の心を試すためのものであり、彼が学んだことこそが、最も大切な宝物であると気づいたのです。
それから、アフメドは村に帰ると、他人を思いやりながら幸せに暮らしました。
そして、彼はシームルグの羽根を大切に保管し、その教えを忘れることはありませんでした。
おしまい。
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