「ヤムイモの争い」(The Yam Dispute)-ナイジェリア
他言語版
昔々、ナイジェリアのある村に、二人の兄妹が住んでいました。
兄の名前はアリ、妹の名前はサラです。
二人はいつも仲良く遊び、一緒に畑で作物を育てたり、村の人びとを助けたりして過ごしていました。
村の人びとはヤムイモを大切にしており、それは村の食べ物としてとても重要なものでした。
ヤムイモは、特に乾季になる前の収穫時期にとても重宝され、村の人びとにとって貴重な食料源でした。
アリとサラの家にも、大きなヤムイモ畑がありました。
ある年、村にひどい干ばつが訪れました。
雨がほとんど降らず、作物は育たず、村人たちは食べ物に困り始めました。
アリとサラも、畑で育てたヤムイモがどれも小さくなり、収穫量が減ってしまいました。
それでも、二人は毎日一生懸命に働き、少しずつ食べ物を収穫していました。
ある日、アリとサラは畑で大きなヤムイモを見つけました。
アリはそのヤムイモを手に取ると、嬉しそうに言いました。
「このヤムイモはとても大きい!
これを今日の食事にしよう。
」
しかし、サラはちょっと心配そうに言いました。
「でも、私たちにはこれ一つしかないし、これを食べてしまったら、明日には食べ物がなくなってしまうわ。
」
アリはその言葉を聞いても、まだヤムイモを食べたい気持ちが強くなってしまいました。
「でも、これは大きいんだし、今すぐに食べてしまうのがいいじゃないか。
これを食べれば、今日はお腹いっぱいになれる。
」
サラは少し考えた後、こう答えました。
「でも、私たちはまだ他にも食べ物を育てているわけじゃない。
私たちの家族はみんなで助け合って、少しずつ大事に食べるべきだと思う。
」
アリはその言葉に腹を立てました。
彼は兄として、妹が自分の提案を受け入れないことに納得できませんでした。
アリはつい、怒って言いました。
「どうしてそんなに心配するんだ?
どうせもうすぐ雨が降るわけでもないし、このヤムイモを食べてしまっても大丈夫だろう。
」
サラは少し涙を浮かべながら、優しく言いました。
「アリ、私たちはただお腹が空いているだけじゃない。
私たちには、みんなと助け合っていく力が必要だと思うの。
それに、今このヤムイモを食べたら、みんなで分け合うことができないよ。
」
二人はその場で言い争いをしているうちに、村の長老が通りかかりました。
長老は二人の争いを見て、静かに声をかけました。
「アリ、サラよ。
どうしてこんなことで争っているのだ?
」
アリとサラはお互いに顔を見合わせ、言葉を詰まらせました。
サラが先に口を開きました。
「長老、私たちは一つのヤムイモを食べるべきかどうかで争っているのです。
アリはそのヤムイモを食べようと言い、私はみんなで大切に分け合うべきだと言っているのです。
」
長老は静かに頷きました。
「そうか。
このヤムイモ一つで争っているのか。
しかし、食べ物が少ない時こそ、みんなで助け合うことが大切なのだ。
もしも一人だけが多く食べてしまうと、他の人びとが困ってしまうかもしれない。
お前たちがどちらの考えが正しいかを決めるのではなく、みんなでどんな方法で助け合うかを考えるべきだ。
」
アリとサラはその言葉にハッとしました。
二人は顔を見合わせ、しばらく黙って考えました。
そして、アリが言いました。
「分かったよ、サラ。
私たちは一緒にこのヤムイモを分け合おう。
少しずつ、みんなに渡して、困っている人びとにも届けよう。
」
サラは笑顔で頷きました。
「それがいいわ。
みんなで助け合って、この村を守りましょう。
」
その後、アリとサラは大きなヤムイモを切り分け、村の人びとに分け与えました。
みんなはその行動に感謝し、村の中は温かい気持ちで満たされました。
アリとサラも、互いに助け合う大切さを学びました。
それからというもの、村の人びとはいつも食べ物を分け合い、どんなに小さなものでも大切に使うようになりました。
アリとサラの争いは、村の人びとに協力と助け合いの重要さを教えてくれたのです。
おしまい。
シェア