「ラ・マルサ・イ・ラ・ティエラ」 (The Marsh and the Earth) - メキシコ
昔々、メキシコの広大な土地に、ラ・マルサという湿地とラ・ティエラという大地が住んでいました。
ラ・マルサは湿気に包まれ、豊かな植物や水鳥たちが住む美しい場所でした。
一方、ラ・ティエラは乾燥し、広大な土地に大きな山々や広がる草原が広がっていました。
二つの土地は、遠くから見てもまるで正反対の世界のように見えました。
ある日、ラ・マルサがラ・ティエラに声をかけました。
「ティエラよ、私は毎日湿気でいっぱいの場所で、すべてが緑に覆われている。
だが、あなたはどうだ?
乾いていて、あまりにも広すぎて寂しくないのか?
」
ラ・ティエラは少し考えた後、答えました。
「私は広大な大地で、風が吹き抜け、星空が美しい。
確かに雨が少ないけれど、その分、強くて自由な植物が育ち、動物たちも広々とした草原を駆け巡る。
私は自然の力強さを感じることができるのだ。
」
ラ・マルサはその答えを聞き、少し寂しげに言いました。
「でも、私は毎日湿気をたっぷり含んだ土に触れて、私の中に生き物たちが住んでいるのを見るのが好きなんだ。
水草が揺れ、魚が泳ぎ、カエルが跳ねる。
私の中では命が絶え間なく息づいている。
」
ラ・ティエラはその言葉に少し驚きました。
「なるほど、あなたにはそのような魅力があるのか。
けれども、私は乾いた大地にこそ力があると思う。
私の大地に根を張った木々や植物は、どんな嵐にも負けないし、私の土は風に吹かれて乾ききることなく、常に堅固で広がっている。
」
二つの土地はお互いに異なる世界を生きていましたが、しばらくの間、どちらが優れているかを競い合っていました。
ラ・マルサは、雨が降るたびにその豊かな命を見せつけ、ラ・ティエラは乾いた大地に育つ力強い木々を見せました。
そんなある日、大きな嵐がやってきました。
ラ・マルサの湿地には豪雨が降り注ぎ、辺り一面は水に浸かってしまいました。
鳥たちや生き物たちはその雨で浮かんでしまい、家を失ってしまいました。
一方、ラ・ティエラの乾燥した大地も強い風が吹き、風に乗った砂嵐が山々を越えてやってきました。
ラ・ティエラの広大な草原は一瞬で砂に覆われ、草木は吹き飛ばされました。
両方の土地は、いつも通りの強さを誇っていた自分たちが、自然の力の前ではいかに小さな存在であるかを痛感しました。
嵐が過ぎ去った後、ラ・マルサとラ・ティエラは再びお互いに話しかけました。
「ティエラよ、私はあなたの言った通り、乾いた大地には力があることを認めるべきだった。
でも、私は湿地として命が育まれる大切さも知っている。
嵐の後、私の水辺にはまた新しい命が息吹を上げている。
」
ラ・ティエラはしばらく黙ってから答えました。
「私も気づいた。
私は広大で強い大地を持っているけれど、あなたのように命が根を張り続ける力は、私にはなかった。
あなたの湿地には、何度嵐が来ても、命を育む力がある。
」
その後、ラ・マルサとラ・ティエラは、お互いに必要な存在だと感じるようになりました。
ラ・マルサはラ・ティエラに湿気と命を与え、ラ・ティエラはラ・マルサに強さと広がりをもたらしました。
二つの土地はそれぞれの力を認め合い、今ではお互いを補完し合う大切な仲間となったのです。
そして、どちらの土地にも命が育ち、風が吹き、星が輝き続けました。
ラ・マルサは豊かな湿地を保ちながら、ラ・ティエラは広大な大地を広げ続けていました。
おしまい。
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