「リューシャンと悪魔」(Ryushan and the Devil)- フィンランド
昔、フィンランドの小さな村に、リューシャンという若者が住んでいました。
リューシャンは非常に勤勉で、どんな仕事にも真剣に取り組んでいましたが、貧しい家計に悩まされていました。
彼の家は貧しく、父親は病気で働けず、母親は家事に追われていました。
リューシャンは毎日、村の畑で働き、少ない収入を家族のために捻出していました。
ある寒い冬の日、リューシャンが雪に埋もれた道を歩いていると、突然、一人の男が現れました。
その男はまるで煙のように黒い影をまとい、目が赤く光っていました。
リューシャンは驚きましたが、その男は冷静に話しかけてきました。
「お前がリューシャンか?
私は悪魔だ。
お前が欲しいものをすべて与えてやろう。
ただし、代償を支払わなければならない。
」
リューシャンはその男を見つめ、恐れることなく答えました。
「代償?
私はあまり多くを望んでいません。
ただ、家族が幸せで、父が健康であればそれだけで十分です。
」
悪魔は笑いながら言いました。
「そうか、君は心が清らかだ。
しかし、心の中に欲望が無い者はいない。
お前は自分の未来のために何かを望むだろう。
」
リューシャンはしばらく考えましたが、家族のために少しでも楽になるためには、何かしらの助けが必要だと思い直しました。
彼は深く息を吸い、決断しました。
「ならば、あなたが与えてくれる助けを受け入れます。
でも、私は命を取られるようなことは絶対に受け入れません。
」
悪魔はリューシャンの言葉に満足そうに頷きました。
「よろしい。
では、契約を交わそう。
君の家族に必要なものを、すべて与えてやる。
ただし、五年後に君の魂をいただくことを約束する。
」
リューシャンは少しの間、考えましたが、家族のために助けを求める気持ちが勝りました。
「承知しました。
その約束を守るなら、私の家族に助けをください。
」
その言葉とともに、リューシャンは悪魔と契約を交わしました。
契約が終わると、悪魔は消え、リューシャンは家に戻りました。
家に帰ると、リューシャンの目の前に奇跡が起こりました。
家が立派に修理され、食料も十分に揃い、父親は驚くほど元気を取り戻しました。
リューシャンの家族は、突然、幸せな生活を手に入れました。
しかし、五年後、リューシャンは約束の日が近づくにつれて、不安にかられました。
毎晩、悪魔が来ることを恐れ、寝ても覚めてもそのことばかりを考えていました。
リューシャンはどうしても自分の魂が悪魔に取られることを拒みたかったのです。
そのとき、リューシャンは村の賢者に助けを求めました。
賢者は彼の話を聞き、こう言いました。
「リューシャン、お前が心から悔い改めて誠実に生きてきたなら、お前の魂は取られないだろう。
しかし、もし真の勇気を示したいのなら、最後の試練を受けることだ。
悪魔に立ち向かう勇気を持って行動しなければならない。
」
リューシャンは賢者の言葉を胸に、決心しました。
そして、契約の日が来ると、彼は再び悪魔の前に現れました。
悪魔は冷たい目でリューシャンを見つめ、言いました。
「お前が来るのを待っていた。
だが、君が私の契約に背いたなら、どうなるか分かっているだろう。
」
リューシャンは毅然として答えました。
「私の魂を取る前に、あなたの言葉に隠された本当の意味を解き明かしたい。
あなたが私を試すなら、私もあなたを試します。
私は家族を助け、愛を持って生きることで勝利を掴みます。
」
悪魔は一瞬驚きましたが、リューシャンの誠実な言葉に心を動かされました。
そして、悪魔は最後にこう言いました。
「お前が真の勇気を見せたことを認める。
だから、お前の魂を取ることはしない。
だが、契約の代償として、お前には一つの試練を残す。
」
リューシャンはその言葉を聞いて、深く息を吐きました。
そして、悪魔の言葉通り、家族に幸せと安寧をもたらすことができました。
そして、リューシャンはその後もずっと家族を大切にし、村の人びとに善を施しながら、平穏無事な日々を送りました。
悪魔との契約は結局、彼の勇気と誠実な心によって破られ、彼は自由を手に入れることができたのです。
おしまい。
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