「三匹の兄弟と魔法の指輪」(The Three Brothers and the Magic Ring)-ギリシャ
他言語版
昔々、ギリシャのとある村に三人の兄弟が住んでいました。
長男のアレクサンドロス、次男のニコス、そして三男のステファノスです。
三人は仲が良く、毎日一緒に遊んだり、畑仕事を手伝ったりしていましたが、ひとつだけ問題がありました。
それは、三人の兄弟が貧しくて、生活がとても苦しかったことです。
ある日、兄弟は山の中で遊んでいると、古びた小屋を見つけました。
その小屋には、白髪の老人が住んでいて、彼は三人に声をかけました。
「おお、若者たちよ。
お前たちに試練を与えよう。
この指輪を一つ、持って行きなさい。
この指輪には魔法の力がある。
だが、気をつけなさい。
使い方を間違えると、すべてが逆効果になるだろう。
」
兄弟たちは最初、驚きましたが、好奇心からその指輪を受け取りました。
「どうして使うんですか?
」とアレクサンドロスが尋ねました。
老人はにっこりと笑いながら言いました。
「この指輪を使うと、あなたたちが望むものを手に入れることができる。
ただし、お前たちの心が真摯でなければ、力を誤って使ってしまうだろう。
」
それから、三人の兄弟は家に帰り、それぞれに指輪を使う決心をしました。
まず、アレクサンドロスが言いました。
「私は家族のために、豊かな土地を手に入れよう。
」指輪を握ると、たちまち畑が広がり、金の実が実る土地が現れました。
アレクサンドロスは喜び、家族を養うことができると思いました。
次に、ニコスが言いました。
「私はもっと大きな家を建て、贅沢に暮らしたい。
」指輪を使うと、たちまち大きな宮殿のような家が現れました。
ニコスは大喜びで、豪華な生活を手に入れました。
最後に、ステファノスが言いました。
「私は世界を旅し、多くの知識を得たい。
」指輪を使うと、瞬く間に船が現れ、世界中を自由に航海できるようになりました。
しばらくして、三人はそれぞれの夢をかなえて幸せに暮らしているかと思いましたが、次第に問題が起こり始めました。
アレクサンドロスは豊かな土地を手に入れたものの、あまりに土地が広すぎて、管理が大変で次第に苦しくなり、ついには土地を失ってしまいました。
ニコスは贅沢な生活を楽しんでいましたが、欲が出て、もっと大きな家を求めて次々と建物を増やし、結局は家族との関係が壊れて孤独になりました。
そして、ステファノスは世界を旅して知識を得ることができましたが、家族や仲間との絆を忘れてしまい、どんなに知識を持っていても、心は空っぽだと感じるようになりました。
三人は再び山の小屋で再会しました。
そして、指輪をくれた老人に尋ねました。
「私たちが望んだものを手に入れましたが、なぜか幸せになれませんでした。
」老人は静かに答えました。
「お前たちは、物や地位を求めすぎた。
その力を使うには、心の中で何が本当に大切なのかを見極める必要があるのだ。
」
その言葉を聞いた三人の兄弟は、初めて本当に大切なものが何かに気づきました。
彼らは物質的なものではなく、家族や仲間、そして心のつながりが一番大切だと悟ったのです。
それからというもの、三人は再び村に戻り、助け合いながら素朴な生活を送りました。
アレクサンドロスは小さな畑を耕し、ニコスは村人と協力して街を建て直し、ステファノスはその知識を使って村に学校を開きました。
三人の兄弟は、もう二度と魔法の力を使うことはありませんでしたが、彼らの心は豊かになり、村の人びととともに幸せな日々を送りました。
おしまい。
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