「姉妹と不思議な森の狼」(The Sisters and the Enchanted Forest Wolf)-スウェーデン
昔々、スウェーデンの小さな村に住む姉妹がいました。
姉のエルサはしっかり者で勇敢、妹のリーナは心優しく、どんな動物ともすぐに仲良くなれる不思議な力を持っていました。
ある日、二人は村の外れにある森へベリーを摘みに行きました。
森は昼間でも少し暗く、古い木々がざわざわと揺れていました。
村の人々は「森の奥には魔法にかけられた狼がいる」と噂しており、決して近づかないようにと子どもたちに言い聞かせていました。
「でも、本当にそんな狼がいるのかしら?」リーナは興味津々で森を歩きました。
エルサは「もし本当だったら危ないわ。
ベリーを摘んだらすぐに帰りましょう」と言いました。
しかし、リーナはふと何かの視線を感じて足を止めました。
草むらの奥に、ひときわ大きな黒い狼がこちらをじっと見つめていたのです。
「エルサ、見て!
あの狼、何か話したそうな目をしているわ」
「だめよ、リーナ!
狼は危険よ!
」エルサは妹の腕を引きましたが、リーナはそっと狼に近づきました。
すると、狼は低くうなりながらも、その目には悲しげな色が宿っていました。
「怖がらないで。
私たち、悪いことはしないわ」リーナが優しく声をかけると、狼はゆっくりと口を開きました。
「助けてほしい…」
エルサは驚いて目を見開きました。
「狼が、しゃべった…?」
「そうだ。
私は元は人間だった。
だが、ある魔女に呪いをかけられ、この姿になってしまったのだ。
呪いを解くには、勇敢な心と優しい心を持つ者が、私を信じてくれることが必要なのだ」
リーナは迷わず頷きました。
「私たちで、あなたの呪いを解く方法を探してあげるわ!
」
狼はうなずき、森の奥へと二人を導きました。
やがて大きな古いオークの木の前にたどり着くと、狼は言いました。
「この木の下に、魔女の作った呪いの石が埋まっている。
その石を砕けば、私は元の姿に戻れる」
エルサは地面を掘り返し、やがて黒く光る石を見つけました。
しかし、その瞬間、森の奥から不気味な風が吹き、冷たい笑い声が響きました。
「ふふふ、お前たちが私の呪いを解こうというのか?」
それは森の魔女の声でした。
彼女は影のように現れ、長い黒いマントを翻して言いました。
「もしその石を壊せば、お前たちも呪われるかもしれないぞ?」
エルサは恐れましたが、リーナはきっぱりと言いました。
「あなたの呪いに負けたりしない!
この狼は助けを必要としているの!
」
リーナの言葉に勇気をもらい、エルサは石を力いっぱい地面に打ちつけました。
すると、まばゆい光があふれ、魔女の姿は風のように消え去りました。
狼の体が輝き始め、やがて一人の若い男に戻りました。
「ありがとう…私はこの国の王子だった。
しかし、魔女に呪われ、何年も狼として森をさまよっていたのだ」
村へ戻った二人の話を聞き、人々は驚きながらも喜びました。
王子は二人に感謝し、村人たちはもう森を恐れることはなくなりました。
エルサとリーナは、これからも森と村の平和を大切にしながら暮らしました。
おしまい。
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