「小人の足音」(Little Man's Footsteps)- ロシア
昔々、広大なロシアの森の奥深くに、小さな小人が住んでいました。
彼の名前はボリス。
ボリスは、どこにでもいるような小さな体を持つ、控えめで優しい小人でした。
彼は、森の中で静かに木の実を集めたり、動物たちと遊んだりしながら、幸せな日々を送っていました。
ある日、ボリスが森の中を歩いていると、不思議なことが起こりました。
彼が踏みしめた草の上に、小さな足音が響き始めたのです。
最初は自分の足音かと思いましたが、よく聞いてみると、どうやら誰か他のものの足音のようでした。
しかし、周りを見ても誰もいません。
「誰だろう?
」とボリスは不安そうに周囲を見渡しました。
でも、周りには誰も見当たりません。
少し怖くなったボリスは、足音が消えるのを待つことにしました。
けれども、足音は止まるどころか、次第に大きく、そして早くなっていきました。
ボリスはその足音が近づいてくるのを感じ、思い切って振り向きました。
すると、なんと、その足音を発しているのは、自分の足音とまったく同じ大きさの足跡が続いているのです!
驚いたボリスはさらに歩みを速めましたが、その足音もピタリと合わせて速くなり、ボリスの足跡が地面に残るたびに、まるで誰かがその後を追うかのように足音が続いてきました。
ボリスはとうとう足音に追い詰められ、恐怖で動けなくなりました。
しかし、その時、ふっと足音が止まり、静けさが戻りました。
その瞬間、ボリスは心の中で、もしこの足音が悪いものではないのだと信じることができれば、きっと何か良いことが起きると感じました。
少しだけ勇気を出して、ボリスはその足音の正体を確かめることにしました。
ゆっくりと振り返り、足音が消えた場所を見つめました。
すると、そこにはひとりの小さな影が見えました。
よく見ると、それはボリスとそっくりな小人でした。
「あなたは…?
」ボリスは驚きながらも声をかけました。
その小人は微笑んで答えました。
「私は、君の心の中に住んでいるもうひとりの君だよ。
私は、君が持っている勇気や知恵、そして優しさを象徴している存在なんだ。
」
ボリスはその言葉を聞いて少し安心しました。
すると、その小人は言葉を続けました。
「これから君が進む道には、時に恐れや迷いが訪れるだろう。
でも、覚えていてほしい。
どんな時も君の足音が響くように、君の心の中には答えがある。
そして、勇気を持って歩むことができれば、迷うことはないんだよ。
」
ボリスはその言葉を心に刻みました。
そして、再び歩き始めました。
すると、あの小さな足音もまた、ボリスの後に続いて歩き始めました。
怖くて仕方なかった足音が、今では心強い支えに変わっていました。
ボリスはその後、迷うことなく困難な道を進んで行きました。
時には怖くなることもありましたが、その足音がいつも彼を支えてくれました。
そして、どんな困難な道でも、ボリスは勇気を持って歩み続け、無事に目的地に辿り着くことができました。
それ以来、ボリスは心の中で常に自分の勇気を信じ、どんな困難にも立ち向かうことができるようになったのです。
あの小さな足音は、いつも彼の心の中に響き続けていました。
おしまい。
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