「悪魔の森の中の三兄弟」(Tri brata u Zluškoj šumi)-クロアチア
昔々、クロアチアのとある山あいの村に、三人の兄弟が暮らしていました。長男のマルコは力持ち、次男のイヴァンは知恵者、三男のペトルは心やさしい男の子でした。
ある年、村の井戸が突然枯れてしまい、誰も水を汲めなくなってしまいました。村の長老は言いました。「この村の水は、悪魔の森を流れる魔法の泉から引かれていたのじゃ。森の奥で何かが起きているに違いない」
三兄弟は相談し、森へ向かうことを決めました。村人たちは心配しましたが、兄弟は「みんなを救うため」と旅立ったのです。
悪魔の森、それは人が滅多に近づかない、不思議な音と影がひそむ場所。木々はうめくように風に揺れ、地面からは光るキノコがぼんやりとした灯をともしていました。
しばらく進むと、大きな黒い狼が現れました。兄たちは身構えましたが、ペトルが優しく言いました。「怖がらないで。君も何か困っているの?」すると狼はうなずきました。「泉の水を守っていたのに、森に来た悪い魔法使いが水の流れを止めたんだ」
兄弟たちは狼とともに、森のもっと奥へ進みました。そこには巨大な岩に閉ざされた泉があり、その前には黒いローブをまとった魔法使いが立っていました。
マルコが岩をどかそうとしましたが、びくともしません。イヴァンが考えて言いました。「この岩には呪いがかかっている。力ではなく、心で解かねばならぬ」
そこでペトルが進み出て、泉に向かって言いました。「僕たちは水を必要としている。だけど、あなたの森も大切にする。どうか、力を貸してくれませんか」
すると、泉の水が少しずつ岩のすき間から流れ出し、魔法使いは煙のように消えました。呪いが解けたのです。
村に戻ると、再び井戸から水が湧き出し、村人たちは大喜び。三兄弟は森の勇者として語り継がれることになりました。
それからというもの、悪魔の森は「賢者の森」と呼ばれ、恐れられることはなくなったのです。
おしまい。
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