Onedollar Wanderer

「星の銀貨」(Die Sterntaler)-ドイツ

星の銀貨はドイツの物語です。

むかしむかし、あるところに、ひとりぼっちの女の子がいました。

両親はもう亡くなり、家もなく、頼れる人もいません。

けれど、その子は心のやさしい子でした。

ある日、女の子は小さなパンひとつと、着ている古びた服だけを持って、

「神さま、どうかお守りください」とつぶやきながら歩きはじめました。

どこに行くあてもなく、野をこえ、森をぬけ、ただ一人で歩いていました。

日が沈み、風が冷たくなってきたころ――

道の向こうから、ひとりの貧しい男の人がやってきました。

「お嬢ちゃん、お腹がすいているんだ。何か食べ物を分けてもらえないかい?」

女の子はうなずきました。

「わたしもお腹はすいているけど……どうぞ、あなたが食べてください。」

そう言って、持っていたパンを全部あげてしまいました。

男の人は驚きながらも、それを受け取り、

「ありがとう、天があなたを祝福してくださるように」と言って去っていきました。

女の子はお腹をすかせたまま、また歩きつづけました。

森をぬけると、今度は泣いている子どもが座っていました。

「どうしたの?」と聞くと、子どもは「寒くて、頭が冷たいの」と言いました。

女の子はかぶっていたぼろの帽子をぬいで、その子の頭にかぶせてあげました。

さらに進むと、別の子どもが道ばたに立っていました。

「ぼく、服がなくて寒いんだ……」

女の子は、自分の上着をぬいでその子に着せてあげました。

夜が深まり、星が光りはじめました。

女の子はひとりぼっちで、何も持っていません。

それでも心のなかは静かで、

「神さまは、きっと見ていてくださる」と思っていました。

そのとき、道の向こうにまたひとり、震えている人がいました。

「お願い、何か着るものをください……」

女の子は、もう下着のシャツしか着ていません。

でも、ためらわずにそれを脱いで、その人に渡しました。

その瞬間です。

空いっぱいの星がきらきらと輝き、

まるで夜空が割れて光がこぼれるように、

銀色の小さな星が次々と落ちてきました。

それは、ほんとうの星ではなく、まぶしい銀貨になって、地面にぱらぱらと散らばりました。

女の子が見上げると、

彼女の体にはいつのまにか新しい白い布の服がまとわれていました。

それは、これまでのどんな服よりも美しく、温かでした。

女の子は手をのばして、そっと銀貨を拾いました。

それは星のように光り、手のなかであたたかく輝いています。

神さまが、やさしい心に気づいてくださったのです。

こうして女の子は、もう寒さに震えることも、飢えることもなくなりました。

それからも、彼女は困っている人を見つけると、

「どうぞ、あなたに」と言って分け与えました。

――やがて人々は、その子を「星の少女」と呼ぶようになりました。

彼女が通る夜道では、どんな暗闇も、

かならず小さな星のような光がともったといいます。

そして今でも、心のやさしい人の上には、

そっと星の銀貨が降るというお話です。

おしまい。