「月の王女」(La Princesa de la Luna)-チリ
昔々、チリの広い空の下に、月の王国がありました。
その王国には、美しい王女が住んでいました。
王女の名前はリナ。
リナはその美しさだけでなく、優しい心を持つことで知られていました。
彼女は月の光のように、夜空を照らし、すべての星々に愛されていました。
リナは毎晩、月の宮殿の高い塔から地球の人びとを見守っていました。
彼女は人びとの幸せを祈り、特に困っている者には心を寄せていました。
しかし、月の王国に住んでいる彼女自身は、地上の世界に行くことができませんでした。
王国の掟では、月の王女は月の世界から離れてはいけないと決められていたのです。
ある夜、リナはひとりで月の光を浴びながら考えていました。
「どうして私は地上の世界に行って、人びとと直接触れ合うことができないのだろう?
もし、私が彼らに直接助けを与えることができたら、どんなに素晴らしいだろう。
」そう思いながら、リナは心の中で何度も願っていました。
その願いが月の精霊に届いたのか、ある晩、月の精霊がリナの前に現れました。
精霊は柔らかな光を放ちながら言いました。
「リナ、あなたの心の優しさが地上の世界に届きました。
しかし、掟を破って地上に降りることはできません。
それでも、あなたの願いを叶える方法があります。
」
リナは興奮して尋ねました。
「どうすれば地上の人びとと直接会うことができるのでしょう?
」
精霊は微笑みました。
「あなたが月の光を降ろし、地上の誰かにその光を与えれば、その人があなたの代わりに人びとに助けをもたらすことができるでしょう。
その人はあなたの光を受け取った者として、あなたの心を地上に届けることができるのです。
」
リナはその提案を受け入れ、月の光を地上に降ろす方法を学びました。
そして、月の精霊の導きで、彼女は一晩中光を放ちながら、最も困っている村へと光を届けました。
その村には、長い間干ばつに悩まされている人びとが住んでいました。
作物は育たず、水も不足していて、村人たちは毎日不安な日々を送っていました。
リナの月の光がその村に降り注ぐと、不思議なことが起こりました。
空が明るくなり、雲が集まり、しばらくすると雨が降り始めたのです。
村人たちは驚き、喜びの声を上げました。
やがて、大地が潤い、作物が育ち始め、村は元気を取り戻しました。
その時、村の中で一番困っていた少年、マルコが月の光に包まれているリナの姿を見ました。
彼はその光に導かれ、リナの心に触れることができました。
マルコは心の中でリナに感謝し、彼女の優しさを村の人びとに伝えることを誓いました。
リナの光が村に届いたおかげで、村は再び繁栄を迎えました。
人びとは心を一つにして、共に助け合い、未来に希望を抱きました。
リナはその後も月から村を見守り続けましたが、彼女は自分の光が人びとに届くことを知り、安心して眠ることができました。
そして、リナの心は月の光となり、地上の人びとに優しさを届け続けました。
彼女の願いは叶い、月の王国と地上の世界は、いつまでも美しい調和を保ち続けました。
おしまい。
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