「歌うオウムの物語」(The Story of the Singing Parrot)-スリランカ
昔々、とおい森の中に、美しい羽を持った鸚鵡が住んでいました。その鸚鵡は、歌がとても上手で、朝日が昇るといつも森の中で歌いはじめました。その歌声は、清らかで心を和ませるもので、動物たちはみんなその歌を楽しみにしていました。
鸚鵡は歌うことが大好きで、毎日、歌を歌って過ごしていました。しかし、ある日、森にひとりの商人がやってきました。商人は鸚鵡の歌声を耳にし、すぐにその美しさに魅了されました。
「この鸚鵡を買い取って、街に持って行こう。きっとたくさんの人々が喜んでお金を払うだろう!」
商人は考えました。そして鸚鵡に近づき、こう言いました。
「お前の歌はすばらしい。お前を私の家に持ち帰り、人々に歌わせてやる。するとお前はもっとお金をもらえるようになるぞ」
鸚鵡はしばらく考えましたが、すぐに答えました。
「私はこの森で、自然の中で自由に生きることが幸せです。あなたの言うことには賛成できません。私の歌を、誰かに売るなんてできません」
商人はその答えを聞いて驚きましたが、鸚鵡を説得しようとしました。
「お前は何も知らないのだ。私のところへ行けば、もっとたくさんの人々が楽しんでくれるし、お前にもたくさんの贈り物が与えられるんだ」
鸚鵡はじっと商人を見つめました。そしてゆっくりと言いました。
「私は歌うことが好きです。でも、歌は私の心から出るものであり、他の人々のために売られるものではありません。自由に生きることが、私にとって一番大切なのです」
商人はしばらく黙っていました。鸚鵡の言葉に心を打たれた商人は、しばらく考えた後、こう言いました。
「お前は賢い鸚鵡だ。私も、少し考えが足りなかった。自由を奪うことが、本当の幸せを与えることにはならないのだ」
その日から、商人は鸚鵡を森の中に戻し、自由に生きることを許しました。
鸚鵡は再び森の中で、歌を歌い続けました。その歌声は、ますます美しく、聞く人々の心に響きました。動物たちも、商人も、鸚鵡の歌に感謝し、その教えを忘れませんでした。
その後、商人は何度も鸚鵡の歌を聞きに来ました。そして、鸚鵡のように、物事の大切さを再認識するようになったのです。
この鸚鵡こそが、お釈迦さまの前世のお姿だったのです。
真実の自由とは、物質的なものを追い求めることではなく、心の平安と、他者の幸せを思う心を持ち続けることだと教えてくれています。
おしまい。
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