Onedollar Wanderer

「正直な商人とうそつきな商人」(The Honest Merchant and the Lying Merchant)-スリランカ

正直な商人とうそつきな商人はスリランカの物語です。

昔々、とおい国の町に、ふたりの商人がいました。ひとりは心の清らかな正直者で、もうひとりは口さきだけのうそつき商人でした。

ある日、ふたりはとなりの村で商いをすることになりました。たくさんの品物を持って、村の家を一軒ずつ回ります。うそつき商人が言いました。

「よし、あの村では、わたしが先にまわって、いらない物をタダでもらっておこう。そのあとに来るやつには、いい物が残らないようにしてやる!」

そう言って彼は、あちこちの家に行き、こう言いました。

「これは古い茶わんですね。いらないでしょ?タダで引き取りますよ」

だまされた人たちは、大事な物をうそつきにわたしてしまいました。うそつき商人はニヤリと笑って歩き去ります。

ところが、村のはずれに、小さな古い家がありました。おばあさんと孫娘が住んでいて、ひとつだけ、古ぼけた土の茶わんを持っていました。

うそつき商人はそれを見ると、

「こんな物、ガラクタだ!何の価値もない!」

と笑って立ち去りました。

そのあとに、正直な商人がやって来ました。おばあさんはためしに、その茶わんを見せてこう言いました。

「お若い方、うちにはこれしかありません。見てもらえますか?」

商人は丁寧に手にとって見ました。そして、目を丸くしました。

「これは……なんと、金でできた茶わんです!外は土でぬってあるけれど、中は本物の金ですよ!」

おばあさんと孫娘はびっくりしました。

「でも、先に来た商人は、こんな物いらないって……」

正直な商人はにっこり笑って言いました。

「うそを言う人には、本当の宝の価値が見えないのです」

そして、商人は持っていた銀や品物をすべておばあさんに渡し、その茶わんを受け取りました。

うそつき商人があとでそのことを知ると、大声でわめきました。

「なんてことだ!あの金の茶わんが、あんな家にあったなんて!くやしい、くやしい!」

けれども、どんなに悔やんでも、正直の心にはかないません。

_xD83C_この正直な商人こそが、遠い昔のお釈迦さまでした。

うそや欲ばかりを追う者には、真実の宝が見えない――それが、このお話に込められた教えなのです。

おしまい。