「死者の娘」(daughter of the dead) - イギリス
昔々、イギリスのとある村に、ミアという名の若い娘が住んでいました。
ミアは両親とともに平穏な生活を送っていましたが、ある晩、村に恐ろしい噂が広まりました。
それは、近くの森で死者が復活し、人びとを次々と襲っているというものでした。
村人たちは恐れおののき、夜になると外に出ることを避けました。
しかし、ミアはこの噂に強い興味を持ち、真実を確かめるために夜の森に足を踏み入れる決心をしました。
ある満月の夜、ミアは家を抜け出し、こっそりと森へ向かいました。
森は静まり返っており、ただ風の音と木々のざわめきが聞こえるだけでした。
歩みを進めると、突然、目の前に一人の女性が現れました。
その女性は、美しい顔立ちをしていましたが、彼女の肌は灰色で、まるで死者のようでした。
「お前は誰だ?
」とミアは恐る恐る尋ねました。
「私は死者の娘だ。
」と女性は静かに答えました。
「お前が私に会うのは、運命だろう。
」
ミアは驚き、何か悪いことが起こるのではないかと感じましたが、死者の娘は優しく微笑みながら話を続けました。
「私はこの森を守る者だ。
だが、私もまた呪われた存在。
人びとの魂を守る役目を担っているが、私自身は永遠にこの世をさまようことを運命付けられている。
」
ミアはその言葉に心を打たれました。
死者の娘は、村を襲う死者たちを引き寄せ、彼らの怒りを静めている存在であり、彼女自身がその怒りを受け止めているのでした。
「あなたがこんなにも苦しんでいることを、私は知りませんでした。
」とミアは言いました。
「何かできることはないでしょうか?
」
死者の娘は一瞬黙った後、ふっと息を吐きました。
「私を解放する方法が一つだけある。
それは、誰かが自らの命を犠牲にして、私の代わりにこの呪いを引き受けることだ。
」
ミアはその言葉に胸が痛みました。
彼女はしばらく黙っていましたが、やがて決心を固めました。
「私があなたの代わりに呪いを引き受けます。
」と彼女は言いました。
「村を守るためなら、私はどんなことでもします。
」
死者の娘は驚きましたが、次第にその表情は穏やかになり、感謝の気持ちがこもった目を向けました。
「お前は本当に勇敢だ。
だが、呪いを引き受ける覚悟ができたのなら、私に従って来てくれ。
」
ミアは死者の娘と共に森を進み、ついに森の深くにある神聖な泉に辿り着きました。
泉の水は、まるで星のように輝き、幻想的な美しさを放っていました。
死者の娘は泉の水をひとすすり飲み、ミアに同じように飲むように勧めました。
ミアは一瞬迷いましたが、深く息を吸い込んで泉の水を飲み干しました。
その瞬間、彼女の体に強い力がみなぎり、呪いが解けるとともに、死者の娘はその姿を消しました。
ミアはその後、村に戻り、死者たちの恐怖から村を守ることができました。
死者の娘の呪いを解いた彼女は、森の守護者となり、永遠に村を見守る存在となったのです。
そして、今でも村の人びとは、ミアの勇気と優しさを語り継ぎ、夜になると、遠くからその輝く泉の水音を聞くことがあると言います。
それは、ミアが今も森で守り続けている証拠なのかもしれません。
おしまい。
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