「白鳥の病」(The swan's disease)- スウェーデン
昔々、スウェーデンの美しい湖のほとりに、白鳥の群れが住んでいました。
その湖は、周りの山々に囲まれ、春になると、湖面に咲く花々とともに、白鳥たちが舞う姿が美しいと評判でした。
しかし、ある冬の寒い夜、奇妙なことが起こりました。
一羽の白鳥、リリスが湖で倒れてしまいました。
リリスは、群れの中でも最も優雅で力強い白鳥で、誰もが彼女を尊敬していました。
しかし、その日からリリスは動けなくなり、羽ばたこうとしても力が入らず、周りの白鳥たちは心配しました。
リリスの家族や仲間たちは、何とかリリスを助けようとしましたが、どんな方法を試しても彼女は回復することがありませんでした。
次第に、リリスの体が弱り、羽が縮んでいきました。
湖のほとりで見守っていた村人たちも、心を痛め、医者を呼びましたが、誰もその病の原因を突き止めることができませんでした。
ある日、村の賢い老婆がやってきました。
老婆は、長い間、この地に住んでおり、たくさんの伝説や物語を知っていました。
彼女はリリスの様子をじっと見守り、そして言いました。
「これは『白鳥の病』だ。
長年この湖で見られてきた病気だが、治す方法は簡単ではない。
」
「白鳥の病?
」と、リリスの家族は驚きました。
老婆は頷きました。
「この病は、白鳥が心から孤独や悲しみを感じる時にかかるものだ。
心が折れ、もう飛べなくなる。
けれど、この病を治すには、真の愛と誠実な心が必要だ。
」
リリスの家族は深く悩みました。
白鳥の群れが長い間、仲間として過ごしてきた中で、リリスが抱えた孤独や悲しみが影響しているのかもしれないと思いました。
しかし、誰もがリリスを愛していたのに、なぜ彼女はそのような病にかかってしまったのでしょうか。
すると、リリスの親友である一羽の若い白鳥が、自分がリリスを助けるべきだと決心しました。
その白鳥の名前はカーロだった。
カーロは、リリスを心から大切に思っており、彼女を助けるためには何ができるかを考えました。
カーロは、湖の畔でリリスと二人きりになると、静かに話し始めました。
「リリス、あなたがこんなに苦しんでいる理由が分からない。
でも、私はあなたを決して見捨てない。
私はあなたを愛している。
あなたがどんなに苦しんでいても、私が側にいる限り、孤独ではないよ。
」
リリスはゆっくりと目を開け、カーロの言葉に耳を傾けました。
彼女の胸の中で何かが溶けるような感覚が広がりました。
リリスは、ずっと抱えていた孤独感をようやく解放できたように感じたのです。
カーロはその後、毎日リリスのそばにいて、彼女を励まし続けました。
リリスは次第に元気を取り戻し、羽ばたく力を取り戻しました。
時間が経つにつれて、彼女は以前のように美しく優雅な白鳥へと戻っていったのです。
そして、ある明るい春の日、リリスは再び群れの中で舞い上がりました。
彼女は自由に空を飛び、湖の上を優雅に滑るように飛びました。
カーロがそばにいて、彼女を支え続けたからこそ、リリスは病を乗り越え、再び幸せを感じることができたのです。
その後、リリスとカーロは湖の守り神として、みんなに愛される存在となり、仲間たちとともに平和な日々を過ごしました。
そして、リリスはもう二度と、孤独や悲しみを感じることなく、飛び続けることができました。
おしまい。
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