「聖なる湖と金のカモ」(Sveto jezero i zlatna patka)-クロアチア
昔々、クロアチアの山のふもとに、光のように青く輝く湖がありました。人々はその湖を「聖なる湖」と呼び、大切に守っていました。
ある日、村の少年ミーヨは、山で薪を集めていると、湖のほとりに一羽の金色のカモがいるのを見つけました。そのカモは、太陽の光をあびてキラキラと輝き、まるで夢の中の鳥のようでした。
「金のカモだ!きっとすごい宝になる!」とミーヨは思いました。だけどそのとき、カモが人の言葉で話しかけてきました。
「私をつかまえてはいけません。この湖には秘密があります。」
ミーヨは驚きましたが、欲に負けて手を伸ばそうとしました。すると、湖の水がにわかにあれて、強い風が吹きはじめました。金のカモは、湖の中央へと飛んでいき、静かにこう言いました。
「心が清らかな者にだけ、私は近づくのです。」
その晩、ミーヨは村の長老にすべてを話しました。長老はうなずいて言いました。
「そのカモは、この聖なる湖の守り神じゃ。むかし、湖が干ばつで干上がったとき、金のカモが現れて雨を呼んだという。だが、欲深い者が現れると湖は怒るのじゃ。」
それを聞いたミーヨは深く反省しました。そして次の日、湖の前にひざまずき、心から謝りました。
「欲を捨てます。どうか、あなたの心にふさわしい人になります。」
すると、湖は再び穏やかになり、金のカモがそっと岸辺に現れました。今度は、ミーヨに近づき、やさしくこう言いました。
「おまえの心は変わった。だから、湖の秘密を教えましょう。」
カモが羽ばたくと、湖の水がすーっと割れ、湖の底に美しい庭が現れました。そこには花が咲き乱れ、泉からは銀の水がわき出していました。
「この泉の水を村に運びなさい。人々が分かちあい、欲を離れて生きれば、この湖はいつまでも清らかでいられるのです。」
ミーヨは村に戻り、水を運びました。村の人々も湖の話を聞いて、みなで感謝の気持ちを持つようになりました。
それ以来、聖なる湖は一度も干上がることなく、金のカモは時おり現れては、空をゆったりと飛んでいくのだそうです。
おしまい。
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