「蜂蜜の木」(Honey Tree)-アフリカ
昔々、アフリカの広い大地に小さな村がありました。
その村には、ひときわ大きな木が一本立っていました。
この木は「蜂蜜の木」と呼ばれ、村の人びとにとって特別な存在でした。
蜂蜜の木の根元には、大きな穴があり、そこに蜂たちが住んでいました。
蜂たちは、この木からとてもおいしい蜂蜜を作り出し、村人たちはその蜂蜜を大切に食べていました。
蜂蜜は甘くて美味しく、病気を治す力があるとも言われていました。
だから、村人たちは蜂蜜の木を大切にし、決してその木を傷つけたり、木の周りを荒らしたりすることはありませんでした。
ある日、村にひとりの旅人がやってきました。
その旅人は、ずっと歩き続けてきたようで、疲れた様子でした。
村人たちは旅人を迎え入れ、食べ物と水を分けてあげました。
旅人はお礼を言いながら、村の中を歩いていると、蜂蜜の木を見つけました。
その木は他の木よりもずっと大きく、立派でした。
「この木は、どうしてこんなに大きいのでしょうか?
」旅人は村の長老に尋ねました。
長老は微笑みながら答えました。
「この木は特別な木です。
昔から、村人たちはこの木に感謝し、蜂蜜を大切にしてきました。
この木の蜂蜜には、健康を守る力があると言われています。
」
旅人はその言葉に興味を持ち、蜂蜜の木の近くまで歩いて行きました。
その木の下には、たくさんの蜂たちが忙しそうに飛び交っていました。
蜂たちを見た旅人は、しばらくその蜂蜜の木をじっと見つめていました。
「この木からもっと蜂蜜を取って、もっとたくさんの人びとに分けてあげたらどうだろうか?
」旅人はふと思いました。
次の日、旅人は村人たちに言いました。
「蜂蜜の木からたくさん蜂蜜を取って、村をもっと豊かにするべきだと思います。
私が蜂蜜を取る手伝いをしましょう。
」
村人たちは驚きましたが、長老は静かに言いました。
「蜂蜜の木から蜂蜜を取るのは、ただ取るだけではないのです。
この木は、私たちに与えてくれるものに感謝して取らなければなりません。
無理に取ると、木が怒ってしまうかもしれません。
」
旅人はその言葉を軽く聞き流し、次の日、ついに蜂蜜の木に登り、蜂の巣を取りました。
しかし、するとどうでしょう。
蜂たちは怒って飛び回り、木の周りが騒がしくなりました。
蜂蜜の木がどんどん元気を失っていくのが、旅人には感じられました。
村人たちは心配そうに木を見守り、長老は静かに言いました。
「木が怒っている。
私たちは蜂蜜を取るとき、いつも木に感謝して、少しだけ取るのが大切なのです。
」
旅人はすぐに木から降り、謝りながら言いました。
「ごめんなさい。
私は木に感謝することを忘れていました。
」
その後、村人たちは蜂蜜の木を守り続け、蜂蜜を取るときにはいつも感謝の気持ちを忘れませんでした。
木は再び元気を取り戻し、村にはおいしい蜂蜜がたくさん届くようになりました。
それからというもの、旅人は村に残り、蜂蜜の木を守るために働きました。
そして村人たちは、どんなに恵まれていても、感謝の心を忘れてはならないことを学びました。
おしまい。
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