「赤い靴」(Red Shoes)-デンマーク
昔々、デンマークの小さな村に、カレンという美しい少女が住んでいました。
カレンは、貧しい家で育ちながらも、心優しい性格の持ち主で、毎日一生懸命働いていました。
彼女は特に、おばあさんと一緒に過ごすのが好きでした。
おばあさんはカレンをとても大切にし、彼女に愛情を注いでいました。
ある日、カレンが村の広場を歩いていると、街の大きな店の前で一足の美しい赤い靴を見つけました。
赤い靴は、とても鮮やかな色で、誰が見ても目を引くほどでした。
カレンはその靴に心を奪われ、欲しくてたまりませんでした。
その時、おばあさんがカレンに言いました。
「カレン、あの靴を買うお金はないでしょう。
あの靴を買っても、きっと後悔することになるわ。
」
しかし、カレンはその言葉に耳を貸さず、お金を貯めて赤い靴を買いました。
靴を履いてみると、驚くほどぴったりと足に合い、その美しさにカレンは満足しました。
そして、毎日その赤い靴を履いて歩くことが楽しみになりました。
ある日、カレンが赤い靴を履いて広場を歩いていると、誰もがその靴を見て驚きました。
「なんて素晴らしい靴だ!
」と誰もが声をかけ、カレンはだんだんその靴に夢中になっていきました。
やがて、カレンは赤い靴にすっかり魅了され、その靴なしでは歩けなくなってしまいました。
しかし、ある晩、カレンは再び赤い靴を履いて街を歩いていたとき、不思議なことが起こりました。
靴が突然、勝手に動き出したのです。
カレンは足を止めようとしましたが、靴はますます速く動き、まるで彼女の意志を無視するかのように、勝手に踊りだしました。
カレンは必死に靴を止めようとしましたが、靴は動き続け、どんどん速くなり、止まることはありませんでした。
「誰か助けて!
」と叫びましたが、誰も助けてはくれません。
カレンは靴に引きずられるように、村を抜け、森の中にまで入ってしまいました。
どうしても止まらない靴に、カレンは恐怖を感じました。
夜も眠れず、朝も靴に引きずられるように歩き続けました。
その時、カレンはおばあさんの言葉を思い出しました。
「あの靴を買ってはいけない」という忠告を無視してしまったことを後悔しました。
しかし、後悔してももう遅いのです。
やがて、カレンは村の外れにある神秘的な森にたどり着きました。
そこで彼女は、森の中で住む魔女に出会いました。
魔女はカレンの悲しみを見て、「その靴を止める方法は一つだけ」と言いました。
「その靴を脱ぐことだが、脱げなければ、お前は永遠に踊り続けなければならない。
」
カレンは必死で靴を脱ごうとしましたが、どうしても外れません。
魔女はカレンに、「この靴を履いたことを悔い、心を入れ替えなければ、いつまでも踊り続けることになる」と告げました。
そして、カレンはようやく理解しました。
靴が彼女に与えたものは、外見の美しさや優越感ではなく、心の安らぎを失わせ、周りの人びととの絆を断ち切ってしまったということを。
その後、カレンは魔女の助けを借りて、靴を脱ぎ、赤い靴を放り投げました。
靴はどこかへ消えてしまい、カレンは静かな心を取り戻しました。
それ以来、カレンは赤い靴を二度と求めることはなく、穏やかな生活を送り、心の中でおばあさんに謝罪しました。
そして、他の人びととの絆を大切にし、謙虚に生きることを誓いました。
おしまい。
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