「阿里山の少女と檜の木」(The Girl and the Cypress Tree of Alishan)-台湾
昔、台湾の美しい阿里山(アリサン)の山のふもとに、小さな村がありました。
この村には、貧しいけれども心優しい少女、リリが住んでいました。
リリは毎日、山の中で働きながら、いつも夢を見ていました。
それは、山の頂に生えている大きな檜の木(ひのきのき)を見上げ、いつかその木の下で、幸せを見つけることでした。
リリは、村の人びとに頼まれて、毎日山の中で木の実を拾ったり、草を摘んだりしていました。
彼女は、山の中でひときわ目立つ大きな檜の木を見つけると、いつもその木の影で休むことが好きでした。
その檜の木は、村の人びとの間でとても大切にされており、神聖な木として知られていました。
ある日、リリがその檜の木の下で休んでいると、突然、木の根元から声が聞こえてきました。
「リリ、お前の心の中にある願いを叶えてあげよう。
」驚いたリリが顔を上げると、檜の木がまるで生きているかのように動き出し、枝を揺らして、再び言いました。
「お前が心から望むことを、私は叶えることができる。
だが、そのためにはお前の真心が試されるだろう。
」
リリは戸惑いながらも、木に向かって答えました。
「私は、いつか家族や村の人びとがもっと幸せに暮らせるようにしたいのです。
でも、私には力がありません。
どうすればよいのでしょうか?」
檜の木は静かに微笑みました。
「それならば、最初の試練を受けるがよい。
お前がその試練を乗り越えることができれば、お前の願いは叶うだろう。
」そう言うと、木は一瞬にして静まり、リリの目の前に一つの小道が現れました。
その道は、山の奥深くへと続いていました。
リリは迷いながらも、その道を歩き始めました。
道の途中で、彼女は様々な困難に直面しました。
時には急な坂を登り、時には荒れた道を歩きながら、リリは力強く進んでいきました。
途中、疲れて立ち止まりたくなることもありましたが、リリは心の中で「家族を助けるため、村の人びとを幸せにするため」と自分を励まし、前に進みました。
やがて、リリは山の頂にたどり着きました。
そこで彼女は、美しい星空とともに、檜の木の精霊が待っているのを見つけました。
精霊は優しく言いました。
「お前がこの道を歩んだのは、ただ一つの理由だ。
それは、お前が困難に立ち向かう強さを持っているからだ。
お前の真心は、誰にも負けない。
」
リリは嬉しそうに微笑みました。
すると、精霊は手を広げ、空から光り輝くものを降らせました。
それは、村に必要な恵み、豊かな実りや雨、そして平和をもたらす力でした。
リリは感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、心から願いました。
「この恵みを、家族や村の皆さんと分け合いたいです。
」
そして、檜の木の精霊はリリに微笑んで言いました。
「お前の願いは、すでに叶ったのだ。
お前の優しさと強さが、すべてを実現させたのだ。
」リリはその言葉を胸に、村へと戻りました。
村に帰ると、そこには新たな豊かさと平和が広がっていました。
家族も村の人びとも、幸せそうに笑顔を見せていました。
リリは心から幸せを感じ、檜の木と精霊への感謝の気持ちを忘れることはありませんでした。
それからもリリは、いつも檜の木の下で、村のために祈り、山の恵みを大切にしながら生きました。
彼女の心には、いつも愛と希望が満ちていたのです。
おしまい。
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