「隠れ里のエルフたち」(The Hidden People of the Valley)-アイスランド
昔々、アイスランドのとある谷間に、誰も見たことがない小さなエルフたちが住んでいました。
彼らは「隠れ里のエルフたち」と呼ばれており、昼間は石や岩の中に隠れ、夜になるとこっそりと外に出て、星の光を浴びながら、そっと森や川を歩き回っていました。
エルフたちは小さくて、細く、目には不思議な光が宿っていました。
その姿を見ることができるのは、ほんの少しの人びとだけで、誰もがその存在を信じていたわけではありませんでした。
ある日、一人の少年、アイヴァルが谷間の村に住んでいました。
アイヴァルは好奇心旺盛で、森や山を探検するのが大好きでした。
ある晩、月明かりの下で不思議な音が聞こえました。
それは鈴の音のようで、風に乗ってやわらかく響いてきます。
アイヴァルはその音を辿っていき、森の中で小さな石の小道を見つけました。
そこを歩いていくと、目の前に突然、目に見えないような小さな扉が現れました。
その扉を開けると、目の前には広がる美しい世界がありました。
小さな家々が石の間に並び、色とりどりの花が咲き乱れていました。
そこにはエルフたちが暮らしていて、彼らはアイヴァルを驚いた顔で見つめました。
エルフたちは誰もが優しそうな顔をしており、ひときわ小柄で、光のように明るい服を身につけていました。
「ようこそ、アイヴァル」と、エルフのリーダーの一人が言いました。
「私たちの世界に足を踏み入れるのは、珍しいことだ。
でも、君の心が純粋だからこそ、私たちに会うことができたのだろう。
」
アイヴァルは驚きながらも、リーダーの言葉に心が温かくなりました。
エルフたちは、アイヴァルに自分たちの世界のことを話し始めました。
彼らは山の中に隠れて、外の世界に気づかれないように暮らしていること、そして自然を大切にして、動植物たちと深い絆を結んでいることを教えてくれました。
「でも、なぜ人びとには見えないのですか?」とアイヴァルは尋ねました。
「私たちは、人間の世界と少し違った世界に住んでいるからさ。
私たちの目には、あなたたちの世界が違って見えるのと同じように、あなたたちには私たちの世界が見えないんだ。
でも、心が純粋で、自然を大切に思っている人には、私たちの存在を感じることができる。
」とリーダーは言いました。
アイヴァルはエルフたちと一緒に過ごし、彼らから自然や動物、そしてエルフたちの魔法について多くのことを学びました。
毎晩、月の光を浴びながらエルフたちと踊ったり、歌ったりするのは楽しいひとときでした。
彼は、自分がエルフたちと過ごした時間を決して忘れないだろうと思いました。
しかし、ある日、村に帰る時間が来ました。
エルフたちはアイヴァルに微笑んで言いました。
「私たちの世界は、外の世界とは違う。
君が帰るべき場所は村だ。
だが、心の中で私たちを忘れないように。
」
アイヴァルは少し寂しげにうなずき、村へ帰ることにしました。
彼が振り返ると、エルフたちの世界はもう見えなくなっていましたが、心の中でその美しい景色をしっかりと覚えていました。
それ以来、アイヴァルはエルフたちのことを忘れず、自然を大切にすることを心に誓いました。
彼が大人になった後も、谷間で不思議な音が聞こえると、ふとエルフたちのことを思い出し、優しい気持ちになりました。
おしまい。
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