「魔女のかかし」(The witch's scarecrow)- スペイン
昔々、スペインの小さな村に、魔女が住んでいました。
その魔女は、見た目は怖いけれど、心優しい魔女でした。
彼女の名前はエルヴァ。
エルヴァは普通の魔女と違って、呪文を使うことがあまりありませんでした。
彼女が得意だったのは、植物や動物たちと話をすること。
そして、畑や庭を美しく育てることでした。
エルヴァの家の周りには、色とりどりの花が咲き誇り、木々は緑を深め、鳥たちは歌いながら飛び交っていました。
しかし、村の畑では、なぜか作物がうまく育たず、いつも収穫が少ない年が続いていました。
ある年、特にひどい夏がありました。
村人たちが畑を見ても、作物は枯れ、何も実っていませんでした。
畑を守っていたはずのかかしも、風で倒れてしまい、土の中に埋もれてしまったのです。
村人たちは困り果て、どうして作物が育たないのか、誰もわからないままでした。
そこでエルヴァは、村人たちのために一つの決心をしました。
彼女は、魔法を使って、村の畑に魔女のかかしを作ることにしたのです。
エルヴァは夜になると、魔法の杖を使いながら畑に向かいました。
月明かりの下、彼女の杖からは、青白い光がほのかに漏れました。
エルヴァは呪文を唱えながら、周りの土をしっかりと固め、長い棒を立てました。
そして、無数の花や葉、そして小さな枝を使って、かかしの体を作り始めました。
そのかかしは、見た目が普通のものではありませんでした。
顔は、かわいらしい笑顔を浮かべ、色とりどりの花で飾られていました。
手には風に揺れる小さな鈴を持ち、足元には光る石が散りばめられていました。
どこか魔法の力を感じさせる、素敵なかかしだったのです。
エルヴァは最後に、魔法の言葉をかけました。
「これから、このかかしが畑を守り、村に豊かな収穫をもたらしますように。
」
その翌朝、村人たちは驚きました。
畑に立っていたのは、美しい魔女のかかしでした。
そのかかしが守っていた畑では、どこよりも元気な作物が育ち始めていたのです。
トマトやナス、ジャガイモ、さらには果物まで、たくさんの実が成り始めました。
そして、次第に村の人びとも、魔女のかかしが守っている畑の作物を手に入れ、みんなの顔が笑顔になりました。
かかしは、ただ守っているだけでなく、その周りの土地を祝福し、豊かさをもたらしたのでした。
エルヴァは、魔女としての力を使いながら、村の畑を豊かにし、村人たちと親しくなりました。
彼女が作った魔女のかかしは、ただの守り神ではなく、村人たちの心にも幸せと希望をもたらしたのです。
そして、その後も毎年、魔女のかかしは村の畑を守り続け、村はいつまでも豊かな土地であり続けました。
エルヴァは、魔法を使うことで、力を求めるのではなく、愛と心のこもった行動が大切だということを村人たちに教えました。
それからというもの、村人たちは畑で実る作物をエルヴァに感謝し、毎年美しい花を贈り続けました。
そして、エルヴァは決して孤独になることなく、村の人びとと心を通わせ、笑顔あふれる日々を過ごしたのでした。
おしまい。
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