「魔法の鳥の卵」(Čarobno jaje)-クロアチア
昔々、クロアチアの山あいの小さな村に、マルコという心のやさしい男の子が住んでいました。マルコの家はとても貧しく、お母さんと二人で畑をたがやして、毎日なんとか暮らしていました。
ある春の日、マルコが森で薪を集めていると、ふしぎな鳥の声が聞こえてきました。「ピィーピィー。チュルチュル。」とてもきれいな声です。マルコが木の上を見上げると、そこには金色の羽をもつ美しい鳥がとまっていました。
鳥はマルコを見つめると、やさしくさえずりました。「マルコ、マルコ。おまえのやさしい心にこたえて、わたしの卵をひとつあげましょう。この卵には魔法がかかっているのです。」
鳥がポトンと落とした卵は、まばゆく光る、ふしぎな玉のようでした。マルコが両手でそっと受けとると、鳥は空へと飛び去っていきました。
家に帰ったマルコは、お母さんにそのことを話しました。「まぁ、なんてきれいな卵なの! でも、魔法って。?」
その夜、卵を机の上に置いて眠っていると、部屋いっぱいに光がひろがり、卵の中からやさしい声が聞こえてきました。「マルコ、どんな願いごとも、ひとつだけかなえてあげましょう。」
マルコは考えました。「お母さんが楽になりますように。もう畑で苦労しないようにしたいんです。」
すると、次の朝、畑にはたくさんの実がなっていて、家のまわりには果物の木や小麦がゆれていました。水もわき出して、小さな泉までできていたのです。
村の人たちはびっくりしました。「どうしてマルコの家だけこんなに豊かになったんだ?」とたずねられても、マルコは魔法のことは言いませんでした。
でも、マルコはその実りを分けあい、村の人たちにも助けの手をさしのべました。やがて村は、みんなが仲よく暮らせる、豊かな場所になっていきました。
ある日、またあの金色の鳥がマルコの前に現れて言いました。「マルコ、おまえのやさしさは、本当の魔法よりも強いのです。これからも、その心を忘れずに。」
マルコは深くうなずきました。
それからも、マルコとお母さん、そして村のみんなは、しあわせに暮らしたということです。
おしまい。
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