「魚の王子」(The Fish Prince)-トルコ
昔々、トルコの美しい海辺の村に、アリという若者が住んでいました。
アリはとても誠実で優しい心を持った漁師で、毎日朝早くから海へ出て魚を獲り、村に持ち帰っていました。
彼の漁は豊かで、村の人びとは彼を尊敬していましたが、アリ自身は決して贅沢な暮らしを望まず、質素な生活を楽しんでいました。
ある日のこと、アリはいつものように小さな漁船に乗り込み、海へと出ていきました。
朝の霧が少しずつ晴れていく中、アリは網を海に投げました。
すると、何かが網に引っかかり、重そうに引き上げられました。
アリは驚きました。
それは大きな魚でしたが、その魚はただの魚ではありませんでした。
魚の背中には金色に輝く鱗があり、目はまるで宝石のように輝いていました。
「おお、なんて美しい魚だろう!
」アリはその魚を見つめながら言いました。
魚は静かにアリを見つめ返しました。
そして、予想もしないことが起こりました。
「お願い、助けてください。
」と、魚が口を開いて話し始めたのです。
アリは驚きました。
「君が話すことができるのか?
」
魚はうなずきました。
「私は実は魚の王子なのです。
魔女によって魚の姿にされてしまったのです。
もしあなたが私を海に返してくれたら、私はあなたに三つの願いをかなえてあげます。
」
アリはしばらく考えました。
すると、優しい心で答えました。
「君を海に返すのは当然のことだ。
でも、君の願いをかなえるなんて、少し驚きだな。
」
アリは魚を海へ戻し、魔法が解けて魚が王子の姿に戻るのを見ました。
王子はにっこりと笑いました。
「ありがとう、アリ。
あなたはとても善良な人です。
さあ、三つの願いをかなえましょう。
何を望みますか?
」
アリはしばらく考え、心の中で最も大切なことを思いました。
「一つ目の願いは、村の人びとがいつも豊かな食べ物を得られるようにしてほしい。
」
王子はうなずき、手をひとひらと振ると、海から無数の魚が現れ、村の海岸に打ち上げられました。
村の人びとはその魚を見て驚き、みんなが豊かな食事を楽しむことができました。
「二つ目の願いは、村の人びとがいつまでも健康で幸せに暮らせるようにしてほしい。
」
王子はもう一度手を振り、村にやさしい風を送ると、村の空気が清らかになり、みんなが元気に働き、笑顔を絶やすことなく過ごすことができました。
最後にアリは言いました。
「三つ目の願いは、私は何も望みません。
私が幸せなのは、村の人びとが幸せだからです。
」
王子はその言葉を聞いて深く感動しました。
「あなたのような人が本当に願いを持たないとは。
だからこそ、あなたに最後のプレゼントをさせてください。
」
すると、王子はアリに小さな金色の箱を手渡しました。
「この箱は、あなたが困ったときに開けることができ、あなたを助けてくれるでしょう。
」
アリは王子にお礼を言い、箱を大切にしまいました。
王子は微笑んで海へ戻り、魚の姿に戻ると、海の深みへと消えていきました。
アリはその後も村で漁を続けましたが、村の人びとはますます豊かになり、健康に恵まれ、幸せな日々を送ることができました。
アリはその後も箱を大切に保管し、もし困ったときが来たら、その箱を開けようと心に決めていました。
そして、アリと村人たちはいつまでも幸せに暮らし、アリは決して自分のことを求めることなく、他の人びとのために尽くし続けました。
おしまい。
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