「黄金のアヒル」(Zlatá kačica)-スロバキア
昔々、スロバキアの小さな村に、心優しい少年が住んでいました。名前はヨハン。彼は農家の息子で、毎日家の手伝いをしては、村の人びとにも親切にしていました。ヨハンには、ひとつだけ大きな夢がありました。それは、いつか立派な商人になって、世界を旅してみることです。
ある日、ヨハンが森で木を切っていると、ふと見かけた美しいアヒルの群れに目を奪われました。その中でもひときわ目立つアヒルがいました。羽根は金色に輝き、まるで太陽の光を集めているかのようでした。驚いたヨハンは、思わずその金色のアヒルを追いかけ、ついに捕まえることができました。
「どうか私を放しておくれ、ヨハン。」
そのアヒルが不思議な声で話し始めました。ヨハンは驚き、しばらく黙ってアヒルを見つめました。
「私を放してくれたら、必ずお礼をするよ。」
ヨハンは心優しく、すぐにアヒルを放しました。すると、アヒルは空へ舞い上がり、羽ばたきながら言いました。
「あなたの優しさに感謝するわ。お礼に、これからの幸運を与えましょう。」
その瞬間、ヨハンの手には金色の小さな羽根が握られていました。驚きながらもヨハンは、その羽根を大切に胸にしまいました。
翌日、村に帰ったヨハンは、村の商人たちにその羽根を見せてみました。すると、商人たちはその羽根が金でできていることに気づき、驚きの声をあげました。
「この羽根を持っていると、どんな困難も乗り越えられるだろう。」
商人たちはその羽根を高値で買い取ろうとしましたが、ヨハンはそれを手放さず、再びその羽根を大切に保管しました。
しばらくして、ヨハンはとうとう村を出て、世界を旅する決意を固めました。旅路の途中、彼は出会う人びとに親切にし、どこに行っても幸運をもたらすような出来事が続きました。ヨハンは次第に商人としての評判を高め、ついには大きな都市で商売を始めることができました。
ある日、ヨハンはいちばで素晴らしい宝石を見つけました。その中で特に美しい金色のリングが目を引きました。それはまるであの金色のアヒルが授けてくれたかのような輝きを放っていました。ヨハンはそのリングを手に取ると、ふと思いました。
「この宝石は、あのアヒルに捧げるべきだ。」
そう決心したヨハンは、再び森へ向かいました。深い森の中、金色のアヒルを見つけると、ヨハンは言いました。
「あなたの助けで、私はここまで来ることができました。これをあなたに捧げます。」
アヒルはヨハンの手から金色のリングを受け取ると、こう言いました。
「お前の心の優しさは、どんな宝物にも勝るものだ。お礼として、これからもお前に幸運をもたらし続けよう。」
その瞬間、ヨハンの周りに美しい光が差し込み、アヒルは羽ばたきながら空へ飛んで行きました。そして、その光が消えると、ヨハンはその場に立っていました。
その後、ヨハンは世界中で名声を得、幸せな人生を送ることができました。彼の心優しさと誠実さは、どこに行っても人びとに伝わり、最終的には大きな商売を成功させることができました。
そして、ヨハンが最後に言った言葉は、こうです。
「本当に大切なのは、黄金の羽根や宝石ではなく、他人への優しさと誠実な心だということを、私は学びました。」
おしまい。
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