「おかしなミートパイ」(Strange Meat Pie)-イギリス
昔々、イギリスのとある村に、エドワードという料理上手な男がいました。
エドワードはパン屋を営んでいて、村の人びとにおいしいパンやパイを売っていました。
ある日、エドワードは新しいミートパイのレシピを考えていました。
「もっと特別で、おいしいミートパイが作れないかな?
」そう思っていたところ、パン屋の裏庭で見慣れない黒い鳥を見つけました。
その鳥はニヤリと笑うような顔をしており、不思議な声で言いました。
「おいしいミートパイを作りたいのかい?
それなら、魔法のレシピを教えてやろう。
ただし、一つだけ約束するんだ。
このレシピを他の誰にも話してはいけないよ。
」
エドワードは驚きましたが、好奇心に勝てず「わかった」と約束しました。
すると、鳥は不思議な粉と、見たことのない香辛料をくれました。
「これを使ってパイを作ってみな」と言い残し、鳥は飛び去っていきました。
さっそくエドワードは言われたとおりにパイを焼いてみました。
すると、なんとも言えない香ばしい香りが広がり、見た目もつやつやとしていて、とてもおいしそうでした。
「これはすごい!
」とエドワードは大喜びし、店に並べると、たちまち村の人びとが集まりました。
「なんておいしいパイだ!
」「今まで食べたことのない味だ!
」と、みんな夢中になって食べました。
エドワードのミートパイはたちまち村じゅうで評判になり、遠くの街からも人びとが買いに来るようになりました。
お店は大繁盛し、エドワードはどんどんお金持ちになっていきました。
しかし、ある日、一人の年老いた女性が店にやってきて言いました。
「このミートパイには、なにか奇妙な力があるようだね。
食べるとみんな、少しずつ様子が変わっていくよ。
」
エドワードは「そんなはずはない」と笑いましたが、よく見てみると、最近村の人びとが少しずつ変わっていることに気がつきました。
たとえば、のんびり屋だったパン屋の助手が、妙にすばやく動くようになったり、おしゃべりだったおばさんがまるで鳥のように短い言葉しか話さなくなったりしていました。
「もしかして、あの鳥の魔法のレシピのせいなのか?
」エドワードは不安になり、こっそりパイの材料を調べました。
すると、あの黒い鳥の羽が、パイの中にほんの少し混ざっていることに気づいたのです。
「まさか…!
」エドワードはゾッとして、急いで裏庭に行きました。
すると、そこにはあの黒い鳥が待っていました。
「気づいたようだね」と、鳥はニヤリと笑いました。
「私の力を使って、人間を少しずつ鳥に変えていたのさ。
」
「そんなのはダメだ!
みんなを元に戻してくれ!
」とエドワードは叫びました。
すると、鳥は「それなら約束を破るんだ。
このレシピを誰かに話せば、魔法は消えるよ。
」と言いました。
エドワードは迷いましたが、村の人びとを元に戻すため、勇気を出して村人たちに全てを話しました。
すると、次の瞬間、パイの香りは消え、村の人びとは元の姿に戻りました。
鳥は大きな悲鳴をあげると、黒い煙となって消えてしまいました。
その日から、エドワードはもう魔法に頼ることなく、自分の腕だけでおいしいミートパイを作るようになりました。
村のみんなも、「やっぱりエドワードのパイは最高だ!
」と言って喜びました。
おしまい。
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