「バン族の妹と兄」(The Story of the Ban Siblings)-ベトナム
昔々、ベトナムの山の中に、バン族という小さな村がありました。
その村に、兄妹が住んでいました。
兄の名前はバン・ヴァン、妹の名前はバン・クイでした。
二人は非常に仲が良く、いつも一緒に遊んだり、山を歩いたりして過ごしていました。
しかし、村人たちは言っていました。
「この兄妹は、どこか不思議な力を持っているようだ」と。
ある日、村に大きな困難が訪れました。
村を囲む山々に、恐ろしい悪魔が住みついたのです。
その悪魔は、村の人々を怖がらせ、作物を奪い、夜になると恐ろしい声で村を脅かしていました。
村人たちは誰も立ち向かうことができず、恐れて家から出られなくなりました。
その時、バン・ヴァン兄妹は決心しました。
「私たちが村を救おう」と、妹のバン・クイが言いました。
兄のバン・ヴァンも力強く頷き、二人は山へ向かうことにしました。
兄妹は、悪魔の住む場所までの長い道のりを歩きながら、お互いに励まし合いました。
途中、バン・クイは「もし怖くなったらどうしよう?」と不安を口にしましたが、バン・ヴァンは「恐れてはいけない。
私たちは家族だから、どんな困難にも一緒に立ち向かえる」と言いました。
ついに、二人は悪魔の住む洞窟にたどり着きました。
洞窟の入り口には、巨大な岩が横たわっていました。
バン・ヴァンは岩を持ち上げようとしましたが、それは重すぎて動かすことができませんでした。
そこで、バン・クイが言いました。
「お兄ちゃん、私も手伝うよ」と言いながら、妹は岩に触れました。
その瞬間、二人の手に力がみなぎり、岩が驚くほど簡単に動きました。
「私たち二人の力で、悪魔を退治できるかもしれない」とバン・ヴァンが言い、二人は洞窟の中へと進んでいきました。
洞窟の奥から、恐ろしい声が聞こえてきました。
「誰だ、私の寝床を荒らす者は?」悪魔の姿が暗闇の中に浮かび上がりました。
その顔は恐ろしさに満ちており、目が血のように赤く光っていました。
しかし、バン・ヴァンは恐れずに立ち向かいました。
「私たちが村を守るために来た!
」と叫ぶと、妹のバン・クイも「あなたが村を傷つけることを許さない!
」と続けました。
二人の声は洞窟の中で響き渡り、悪魔は一瞬、驚いたように静かになりました。
その隙に、バン・ヴァンが素早く弓矢を放ち、バン・クイがその矢を力強く引き寄せました。
矢は悪魔の心臓を貫き、悪魔は苦しみながら倒れました。
すると、洞窟の中が静まり返り、悪魔の恐ろしい力は消えていきました。
村に戻ると、村人たちは二人を大いに称賛しました。
「二人の兄妹が村を救ってくれた!
」と、みんなが感謝の気持ちを表し、盛大な宴が開かれました。
バン・ヴァン兄妹は、何も求めずに微笑みながらその宴に参加しました。
彼らは、村のために働くことが一番大切だと知っていたからです。
その後、村は平和になり、バン・ヴァンとバン・クイは村の英雄として語り継がれました。
彼らの勇気と絆は、今でもバン族の人々に大切にされているのです。
おしまい。
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