「バーバ・ヤーガ」(Baba Yaga)-ロシア
昔々、ロシアの深い森の中に、バーバ・ヤーガという恐ろしい魔女が住んでいました。
バーバ・ヤーガは、長い鼻と歯を持ち、鶴のように細長い足をしていました。
彼女の家は、森の中にある古い小屋で、その小屋は鳥の足で立っていました。
小屋が移動することもあり、誰もバーバ・ヤーガを見つけることはできませんでした。
ある日、若い娘のヴァーラが家を出て、森の中に迷い込みました。
ヴァーラは家の中でお母さんに叱られてしまい、家を飛び出してきたのです。
道に迷い、疲れ果てたヴァーラは、ふと見上げると、遠くに小屋が見えました。
そこへ向かって歩いていくと、小屋の扉が開きました。
「誰かいるのか?」と、ヴァーラは声をかけました。
「入れ、入れ。
」と、バーバ・ヤーガが低い声で答えました。
ヴァーラは怖い気持ちを抑えて、小屋に入りました。
中にはバーバ・ヤーガがいて、彼女は見た目こそ恐ろしいが、意外にも優しそうに微笑んでいました。
「何か困ったことがあったのか?」と、バーバ・ヤーガが尋ねました。
ヴァーラは勇気を出して答えました。
「お母さんに叱られて家を出てきたんです。
道に迷ってしまい、助けを求めてここへ来ました。
」
バーバ・ヤーガはしばらく黙って考えた後、こう言いました。
「それならば、私のために仕事を手伝うなら、道を教えてあげよう。
でも、ただでは教えてやらないぞ。
」
ヴァーラは戸惑いながらも、「どんな仕事でもします。
」と言いました。
バーバ・ヤーガはうなずき、部屋の中にある大きな灰を指さしました。
「この灰をすべて掃き清めておいで。
私はしばらく外に出ているから、終わるまで待っているよ。
」
ヴァーラは灰を掃くのがとても大変だと思いましたが、必死に掃除を始めました。
すると突然、小さな動物たちが集まってきて、手伝ってくれるようになりました。
小鳥たちがほうきで灰を払い、リスたちが掃除をしてくれました。
あっという間に部屋はきれいになりました。
バーバ・ヤーガが戻ると、部屋がピカピカに掃除されていることに驚きました。
「お見事だ。
次は、井戸を汲んできてくれ。
」と、次の仕事を頼みました。
ヴァーラはまたもや戸惑いましたが、今度も小さな動物たちが助けてくれました。
動物たちが一緒に水を汲み、あっという間に井戸の水が溢れるほど溜まりました。
バーバ・ヤーガはまたもや驚きました。
「うむ、なかなかやるな。
最後に、私の薬を作ってくれ。
薬草を集めてきて、混ぜ合わせるのだ。
」
ヴァーラは薬草を集め、バーバ・ヤーガの指示通りに薬を作りました。
すると、バーバ・ヤーガはにっこりと笑い、「よくやった、ヴァーラ。
お前には優しさと勇気がある。
さあ、道を教えてやろう。
」
バーバ・ヤーガはヴァーラに、家へ帰る道を教え、最後にこう言いました。
「私が助けたことを忘れずに、困ったときにはまた来なさい。
しかし、気をつけることだ。
私は時々、試練を与えることがあるからな。
」
ヴァーラは感謝し、無事に家に帰ることができました。
そして、その後も森の中で迷うことなく、幸せに暮らしました。
その後、バーバ・ヤーガは再び深い森に戻り、誰も彼女を見つけることはありませんでした。
森の中では、いまだに小屋が鳥の足で動いていると伝えられていますが、誰もその中に入ることはないと言われています。
おしまい。
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