「ヒンドゥー・ラージャと黄金の鹿」(The Hindu King and the Golden Deer)-パキスタン
昔々、ある王国にヒンドゥー・ラージャという賢い王がいました。
この王は、国を豊かにし、民を愛し、どんな困難にも立ち向かってきました。
しかし、王にはひとつだけ心残りがありました。
それは、かつて夢で見た「黄金の鹿」のことでした。
その鹿はまばゆいほどに美しく、王はその姿を一度見ることができたなら、心の中の願いがすべてかなうと信じていました。
ある日、王は自分の夢の中に現れた鹿を追い求めることを決意します。
宮殿の庭で一番速い馬を用意し、旅に出る準備を整えました。
王は、黄金の鹿を捕まえることができれば、国中に幸せをもたらすことができると信じて疑わなかったのです。
王は長い間、森の中を進み、谷を越え、川を渡り続けました。
しかし、黄金の鹿はなかなか現れませんでした。
王は疲れ果て、何度もあきらめかけましたが、心の中で鹿の姿を思い浮かべ、あきらめることができませんでした。
そんなある日、ふとした瞬間、森の奥から輝く光を見つけました。
それはまさに、夢に見た黄金の鹿でした。
鹿は王の目の前に現れ、王はその美しさに目を奪われました。
しかし、鹿は王に近づくことなく、ただ森の奥へと駆けていきました。
王は必死に追いかけ、ついには鹿に近づくことができました。
ところが、鹿はただ一言、「私を追いかけ続けても、決して捕まえることはできない」と言いました。
その言葉に王は驚きました。
黄金の鹿は実は魔法の生き物で、誰も捕まえることができない存在だったのです。
しかし、王はその言葉を無視して、鹿を捕まえることに執着し続けました。
すると、突然森の中に強い風が吹き荒れ、王は足元をすくわれ、倒れてしまいました。
王が目を覚ますと、もう黄金の鹿の姿はどこにも見当たりませんでした。
代わりに、森の中には平和で穏やかな空気が広がっていました。
王は、自分が無駄な追求をしていたことに気づきました。
黄金の鹿を捕まえることができなくても、心の中での安らぎを見つけることができたのです。
王は家に帰り、民にこう語りました。
「私が求めていたものは、すぐ手に入るものではなく、心の中で感じるものだと知ったのです。
私たちの本当の幸せは、外に求めるものではなく、内にあるのです。
」
それから王は、国をさらに豊かにし、民を幸せにするために尽力しました。
そして、彼の心には黄金の鹿よりも、もっと大切なものがあることを深く理解しました。
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