「ピリとカチャル」(Pili and Kachhar)-インド
昔々、インドの小さな村にピリとカチャルという二匹の兄弟ヤギがいました。
ピリは白く、カチャルは黒い毛を持っていました。
二匹はとても仲が良く、いつも一緒に草原を駆け回り、おいしい草を探していました。
ある日、村では大きなお祭りが開かれることになり、人々はたくさんのごちそうを準備していました。
ピリとカチャルは、そのにおいに引き寄せられ、村の広場へとやってきました。
そこには、山のように積まれた果物や、おいしそうなナン、香ばしいスパイスの香りが漂っていました。
「わあ、なんていいにおいだろう!」ピリが目を輝かせました。
「でも、ぼくらは食べられないよ。
人間の食べ物だからね。
」カチャルは少し不安そうに言いました。
しかし、そのとき村の少年が二匹を見つけ、優しく笑いました。
「ピリとカチャル、ちょうどいいところに来たね!お祭りではみんなが食べ物を分け合うんだ。
さあ、おいで!」
二匹は大喜びで、お祭りのごちそうを少しずつ分けてもらいました。
甘いマンゴー、ほくほくのダル、香ばしいチャパティ。どれもとてもおいしく、二匹は幸せな気持ちになりました。
しかし、その様子をじっと見つめている者がいました。
それは村のはずれに住む意地悪なジャッカルでした。
ジャッカルはニヤリと笑い、心の中で考えました。
「ふむ、あのヤギたちはおいしそうだ。
ちょうどおなかが空いていたところだし、今夜のごちそうにしよう。
」
夜になり、お祭りが終わると、ピリとカチャルは草原へ戻りました。
月明かりの下でくつろいでいると、茂みの奥からジャッカルが現れました。
「やあ、ピリとカチャル。
今日はおいしいものを食べたね。
でも、本当においしいごちそうは、ぼくの家にあるんだよ。
もっとおいしいものを食べたくないかい?」
ピリは「えっ、本当に?」と興味を持ちましたが、カチャルはジャッカルの鋭い目を見て、すぐに気づきました。
「これは罠だ!」
「ありがとう、ジャッカルさん。
でも、ぼくらはもうおなかいっぱいだから帰るよ。
」カチャルはきっぱりと言いました。
しかし、ジャッカルは諦めません。
「まあまあ、そんなこと言わずに。
一度来てみるだけでいいんだよ。
」そう言って、ジャッカルはピリのほうをじっと見ました。
ピリは少し迷いましたが、カチャルがそっと耳元でささやきました。
「ついて行ったら危険だよ。
ぼくに考えがある。
」
そこで、カチャルはジャッカルにこう言いました。
「よし、それならこうしよう。
おいしいものがあるなら、まずぼくらが少し味見をさせてもらおう。
もし本当においしかったら、一緒に食べに行くよ。
」
ジャッカルは面倒に思いましたが、「まあ、それくらいならいいだろう」と思い、自分の隠れ家へ走って行きました。
その隙に、ピリとカチャルは素早く村へ戻り、村の犬たちを呼びました。
「ジャッカルがぼくらをだまそうとしているんだ!助けて!」
村の犬たちは「なんだと!」と怒り、ジャッカルが戻ってくるのを待ち伏せしました。
しばらくして、ジャッカルが「さあ、これがごちそうだ!」と戻ってきたとき、草むらの奥から犬たちが一斉に飛び出しました!
「ワンワンワン!」
驚いたジャッカルは「ひえええ!」と叫びながら、必死に逃げ出しました。
二度と村のヤギたちを狙おうとは思わなくなったのです。
ピリとカチャルはほっと胸をなでおろしました。
「カチャル、きみが気づいてくれてよかったよ!」
「これからは、うまい話には気をつけようね。
」
こうして、ピリとカチャルはまた仲良く草原を駆け回り、平和な日々を送ったのでした。
おしまい。
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