「ラ・ルローナ」(La Llorona)-メキシコ
昔々、メキシコの小さな村に、美しい女性が住んでいました。彼女の名前はマリア。若い頃、マリアは村の若者たちの中でも評判の美しい女性で、多くの男性が彼女に恋をしていました。その中でも、一番彼女を愛していたのは、村の裕福な青年、アレハンドロでした。
アレハンドロはマリアにプロポーズし、二人は結婚して幸せな家庭を築きました。そして、二人には可愛らしい子供が生まれ、幸せな日々が続くかのように見えました。しかし、時が経つにつれて、アレハンドロの心は変わり、マリアに対して冷たくなり、次第に彼女の愛を失っていったのです。
ある日、アレハンドロは村の他の女性と恋に落ち、家を出て行くことに決めました。マリアは深く傷つきましたが、最も辛かったのは、アレハンドロが子供たちを置いていったことでした。彼女は涙を流しながら、子供たちに愛情を注ぎ続けました。しかし、アレハンドロが戻ることはありませんでした。
ある晩、マリアは感情を抑えきれず、子供たちを連れて村の川へと向かいました。彼女はその晩、川のほとりで一人きりになり、子供たちを抱きしめながら、「どうして私を裏切ったの?」と涙を流しました。その時、何も考えられないまま、マリアは激しい怒りと悲しみに駆られ、子供たちを川に投げ入れてしまったのです。
川に流れる子供たちを見たマリアは、すぐに自分の過ちに気づきましたが、その時にはもう遅かった。子供たちは流され、二度と戻ることはありませんでした。彼女は必死で川を追いかけ、叫びましたが、もう子供たちの声は聞こえません。
その後、マリアは悲しみのあまり、川の岸辺で泣き叫び続けました。その声は夜空に響き渡り、誰もが恐れるようになりました。村人たちは「ラ・ルローナ」と呼び、この女性の霊を恐れました。ラ・ルローナは、毎晩、川のほとりをさまよいながら、「私の子供たちを返して!」と叫び、川に飛び込んでいくと言われているのです。
そして今でも、夜遅くに川辺に近づくと、遠くから悲しげな女性の声が聞こえてくることがあります。村の子供たちは、決して川に近づかないように言い聞かされ、ラ・ルローナの霊を恐れているのです。
おしまい。
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