「ワイルド・ドッグと星の誕生」(The Wild Dog and the Birth of Stars)-オーストラリア
昔々、オーストラリアの広い大地に、ワイルド・ドッグのディンゴが住んでいました。
ディンゴはとても賢く、足が速くて、どんな動物よりも遠くまで旅をすることができました。
ある日、ディンゴは青く広がる空を見上げて思いました。
「夜になると、空は暗くなってしまう。
どうして太陽はずっと輝いてくれないんだろう?
」
ディンゴはこの謎を知るために、大地の精霊バイアミのもとへ向かいました。
「バイアミさま、どうして夜になると暗くなるのですか?
」
バイアミは静かに答えました。
「それは太陽が休む時間だからだよ。
生き物すべてが眠るために、暗い夜が必要なのさ。
」
でもディンゴは納得できませんでした。
「夜が暗くては、遠くにいる仲間を見つけることもできないし、道に迷ってしまうこともあります。
」
するとバイアミは優しく微笑み、こう言いました。
「それなら、おまえに夜を明るくする方法を授けよう。
」
バイアミはディンゴに火の種を渡しました。
「この火の種を、空へ運ぶのだ。
」
ディンゴは火の種をくわえると、山を越え、川を渡り、大地の果てまで走りました。
ついに、一番高い山の頂上にたどり着くと、思いきりジャンプしました!
ディンゴが火の種を天に投げると、それは弾けるように広がり、小さな光の粒になりました。
それが、最初の星になったのです。
ディンゴは何度も何度も火の種を運び、空へ投げ続けました。
すると、夜空には無数の星が輝き、暗闇をやさしく照らしました。
バイアミはディンゴの努力をたたえました。
「おまえのおかげで、夜が完全な闇ではなくなった。
これからは、迷子になったものも道を見つけられるだろう。
」
ディンゴは満足して、星の輝く夜空を見上げながら、大地へと帰っていきました。
それ以来、ディンゴの遠吠えは、夜空に輝く星々に届くように響き渡るのです。
おしまい。
シェア