「三人の兄弟と七人の巨人」(Tre Vëllezërit dhe Shtatë Gjigandët)-アルバニア
昔々、アルバニアの高い山と深い森に囲まれた村に、三人の兄弟が住んでいました。兄のアルベンは力自慢、次男のミルトは弓の名手、末っ子のレオンは、体は小さいけれど、とても賢く、いつも静かにものを考えていました。
ある年の冬、村に大きな災いがふりかかりました。山にすむ七人の巨人が目を覚まし、次々と村の畑を荒らし、家畜をさらっていったのです。村人たちは怯え、王様の使いがこう告げました。
「七人の巨人を倒してくれた者には、王国一番の褒美を授ける!」
多くの戦士が挑みましたが、誰一人戻りませんでした。
そんな中、三兄弟が名乗りを上げました。
「三人で力を合わせれば、きっと勝てる!」と。
兄のアルベンは大きな斧を、ミルトは特製の銀の矢を、レオンは知恵の袋を持って旅立ちました。
七人の巨人は、それぞれが異なる力を持っていました。ひとりは火を吹き、ひとりは風を呼び、ひとりは岩を投げ、ほかにも氷、水、影、そして言葉を奪う巨人までいました。
まず三兄弟が出会ったのは、火の巨人。アルベンが斧で立ち向かいましたが、炎に包まれて近づけません。
そのとき、レオンが近くの沼から水をくんで、木の葉を使って風上から火を消しました。「火には水と風が敵だ」と、レオンの知恵が勝ちました。
次に現れたのは、風の巨人。あらゆるものを吹き飛ばす嵐のような息をはいてきます。ミルトが遠くから矢を放ち、目をねらって一撃で倒しました。
続く巨人たちも、三人がそれぞれの力と知恵を出し合って、ひとり、またひとりと打ち倒していきました。
そして最後に残ったのは、「言葉を奪う巨人」。この巨人は、相手の声を飲みこみ、言葉を封じてしまうのです。
兄たちが声を失って倒れたとき、レオンだけが目を閉じ、ゆっくりと指で地面に文字を書きました。
《沈黙の中にも、知恵は宿る》
レオンは石の笛を取り出し、声を使わずに美しい音を鳴らしました。その音に惑わされた巨人は、隙を見せ、最後は兄たちとともに力を合わせて倒しました。
七人の巨人が消えたとき、空は晴れ、山々には花が咲きはじめました。村にも光が戻り、王様は三兄弟を城へ招きました。
「お前たちの勇気と知恵に感謝する。王国の守り手として、名を刻もう。」
けれどレオンは首を振り、言いました。
「力ある者が勝つとはかぎらない。知恵と協力こそが、本当の力なのです。」
それから三兄弟は村に戻り、人々のために働きながら、平和な暮らしを守り続けました。
いまも山に風が吹くとき、人々はこう語り伝えます、
三人の兄弟と、七つの巨人の物語を。
おしまい。
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