「小人と魔法の財布」(The Little Man and the Magical Purse)- ドイツ
昔々、ドイツの深い森の中に、小さな小人が住んでいました。
彼の名前はルドルフ。
ルドルフは、他の小人たちと違って、目立たないように暮らしていました。
森の中で見かけることがあっても、いつも静かに歩き、誰とも話すことはありませんでした。
彼はとても優しい心を持っていましたが、なぜかその優しさが報われることはほとんどありませんでした。
ある日、ルドルフは森を歩いていると、奇妙な光が差し込む場所を見つけました。
そこには、金色に光る小さな財布が落ちていました。
財布は普通のものではなく、まるで魔法のような輝きを放っていました。
ルドルフはその財布を手に取り、不思議に思いながらもその場を離れました。
その晩、ルドルフは財布を広げてみました。
中には、何も入っていないように見えましたが、財布に触れると、突然声が聞こえました。
「この財布は魔法の財布です。
欲しいものを一つだけ言いなさい。
きっとそれが手に入ります。
」ルドルフはびっくりして、声がした方向を見回しましたが、誰もいません。
「もしも、本当に欲しいものがあるのなら…」ルドルフは考えました。
彼は貧しく、いつも他の小人たちと比べて何も持っていないと感じていました。
「でも、私は欲深くはない。
ただ、少しだけ幸せになれたらいいな。
」そう思いながら、ルドルフはつぶやきました。
「私は、すべての小人たちが幸せに暮らせるような、豊かな森がほしい。
」
すると、財布が光り輝き、しばらくすると、その財布から出てきたものは、巨大な金の実、果物のような物でした。
それはとても美しく、見るだけで気分が良くなるものでした。
ルドルフはその実を森に持ち帰り、すぐにそれを木々に植えました。
すると、たちまち森の中には、美しい花や果物の木々がたくさん実り始めました。
森に住む小人たちは、驚きながらもその変化を喜びました。
果物が豊かに実り、木々の葉は色とりどりに輝き、空気も清々しく感じられました。
小人たちはすぐにその実を収穫し、おいしい食事を楽しみました。
今までよりも、みんなが笑顔で過ごすようになり、ルドルフもまたその幸福な光景に満ちた森で、心から幸せを感じていました。
だが、魔法の財布には一つのルールがありました。
それは、欲しいものを一度だけ願うことができるということでした。
財布はもう二度とルドルフに言葉をかけることはなく、しばらくしてからその財布は、再び何も入っていない普通の財布に戻ってしまいました。
ルドルフは魔法の財布の力を使い果たし、もう二度とその財布から奇跡を起こすことはありませんでした。
しかし、彼は森の中で最も大切なものを学びました。
それは「他人の幸せを願う心」が、最も素晴らしい魔法であるということでした。
それからというもの、ルドルフは森の中で、みんなが仲良く過ごせるようにと心から努力し続けました。
彼が与えた幸せは、決して魔法の力だけではなかったのです。
おしまい。
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