「小人の兄妹」(dwarf siblings)- ノルウェー
昔々、ノルウェーの深い森の中に、二人の小人の兄妹が住んでいました。
兄の名前はオスカー、妹の名前はリリ。
二人はとても仲が良く、いつも一緒に遊んだり、森の中を探険したりして過ごしていました。
彼らは小さな小屋に住んでいて、日々の生活を慎ましく、しかし楽しく送っていました。
ある日、オスカーとリリは森の奥深くにある不思議な湖を見つけました。
その湖の水はきらきらと光り、まるで星々が湖の中に宿っているかのようでした。
湖のほとりに座ると、リリは「この湖には魔法があるって、誰かが言っていたわ」と言いました。
オスカーは驚いて、「魔法?
」と尋ねました。
すると、湖の中から声が響きました。
「私はこの湖の守護者です。
君たちに一つの願いを叶えよう。
だが、注意しなさい。
欲をかきすぎてはいけません。
」
オスカーとリリは顔を見合わせました。
二人とも、困っていることはなかったので、最初はどう願おうか迷いました。
しかし、リリが言いました。
「私はもっと美しい花々が咲く場所が欲しいわ。
周りの小さな花々も、みんなが幸せになるような花にしたいの。
」オスカーも考えて、こう言いました。
「僕はみんなが元気に過ごせるように、もっとおいしい食べ物がいっぱいある場所が欲しい。
」
湖の守護者はにっこりと微笑み、湖の水が波打ちながら二人の願いを受け入れました。
「その願いは叶えられよう。
しかし、二人の心が本当に純粋で、他人を思いやる気持ちを持っている限り、この土地は栄え、幸福になるだろう。
」
その日から、オスカーとリリの願い通り、森の中には美しい花が次々に咲き、食べ物も豊かに実りました。
小人たちだけでなく、森に住むすべての生き物たちも、幸せそうに過ごすようになりました。
オスカーとリリは、毎日その変化を見守り、みんなで分け合いながら幸せな日々を送りました。
しかし、日が経つにつれて、他の小人たちの間で次第に欲が膨らんできました。
「もっと豊かに」「もっと美味しいものを」と、誰もが自分の願いを叶えたくなり、湖を訪れるようになりました。
だんだんと、皆が欲張りになり、心の中で他人を思いやる気持ちが薄れていきました。
オスカーとリリは、次第にその変化に気づきました。
森が一時的に栄えていたものの、次第にその幸せが薄れてきていることに気づいたのです。
「私たちは、他の誰かの幸せを願うことができなくなっている」とリリは言いました。
「あの湖の魔法は、もうすぐ力を失ってしまうかもしれない。
」
その夜、オスカーとリリは再び湖のほとりに行きました。
二人は守護者にこう頼みました。
「お願いです、私たちの幸せを他の人びとと分け合えるようにしてください。
私たちだけが幸せでは意味がないのです。
」湖の守護者は静かに聞き、ゆっくりと答えました。
「君たちの心は純粋で、まだ他人を思いやる気持ちが残っている。
だが、他の者たちがその心を忘れたなら、魔法は力を失うだろう。
」
その後、オスカーとリリは他の小人たちに、自分たちの考えを伝え、皆で力を合わせて幸せを分かち合うことの大切さを説きました。
すると、小人たちの心も少しずつ変わり、みんなが協力して暮らすようになりました。
森は再び豊かになり、皆が幸せに過ごすことができました。
それからもオスカーとリリは、どんな時でも周りの人びとを思いやる心を忘れず、森を守り続けました。
魔法の湖の力は、その純粋な心によっていつまでも輝き続けました。
おしまい。
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