「山の王と雪の精」(The king of the mountains and the snow spirit)-インド
昔々、インドの広大な山脈、ヒマラヤの奥深くに、山々を治める強力な王が住んでいました。
その王、シャルマ王は、山を支配する力を持ち、風、雨、そして雪をも操ることができました。
彼は山を守るため、また、山の平和を保つために長い間統治をしていました。
シャルマ王は、非常に優れた王で、山の動物たちや人びとから尊敬されていました。
しかし、彼には一つだけ悩みがありました。
それは、冬になると、雪が降りしきり、山に住む動物たちが苦しむことでした。
特に寒さに弱い動物たちは、厳しい冬の間、食べ物もなく、命を落とすことがありました。
ある寒い冬の日、王は悩んでいました。
彼は雪を操る力を持っていますが、雪が降りすぎることで、山に住む生き物たちを苦しめていることに心を痛めていました。
そこで、彼は雪の精に会い、相談しようと決心しました。
雪の精は、雪を司る存在で、冬の精霊の一部として、山々の雪を作り出していました。
彼女の名は、シータ。
シータは山の王にとって、長年の友であり、彼と共に山を治めてきましたが、時に雪が過剰に降ることによって生じる困難を、彼女も理解していました。
シャルマ王がシータを呼び出すと、精霊は冷たい風とともに現れました。
シータは青白い肌を持ち、風に揺れる長い銀色の髪を持っていました。
彼女は優雅に空を舞いながら、王に語りかけました。
「シャルマ王、あなたの心の痛みを感じます。
冬の寒さが動物たちを苦しめ、あなたを悩ませていることを知っています。
しかし、私はただ雪を降らせるだけではありません。
私は冬の精霊として、山を守るために存在しています。
私の力を借りて、この冬を乗り越え、山をさらに強く、平和に保つことができるかもしれません。
」
シャルマ王は深く考え、答えました。
「シータよ、私はお前が雪を降らせることで山を守ると信じています。
しかし、この雪が動物たちの命を奪ってしまうことを私は恐れています。
どうすれば、お前の力で、雪が山に住む者たちに害を与えず、助けになるのでしょうか?
」
シータは一瞬黙り込むと、静かな声で言いました。
「雪には力があるけれど、私には調整する力もあります。
しかし、その調整は、山の王、あなたの心の強さにかかっているのです。
もしあなたが本当に心を込めて、山の全ての命を思うならば、私は雪を優しく降らせることができるでしょう。
」
シャルマ王は心を決めました。
「私の心は山と共にあります。
山の命、動物たち、そして人びとの命を守るため、私はこの力をどう使うべきか考えます。
どうか、シータよ、私に雪を調整する力を授けてほしい。
」
シータはゆっくりと微笑みました。
「よいでしょう、シャルマ王。
あなたの心が純粋であることを私は感じます。
では、私はあなたに雪を降らせる力を与えましょう。
だが、この力を使う時は、常に山のすべての命を思い、優しさを持って調整してください。
」
その後、シャルマ王はシータから与えられた雪の力を使い、冬の間でも山に住むすべての生き物たちが安心して過ごせるようにしました。
雪は過剰に降らず、適度に降り、寒さが厳しくなり過ぎないように調整されました。
動物たちは暖かい巣や洞窟で過ごし、冬を乗り越えることができました。
春が訪れ、山々に花が咲き、清らかな川が流れ始めた時、シャルマ王はシータに感謝の気持ちを伝えました。
「シータよ、あなたのおかげで山は無事に冬を越し、命が守られました。
私はあなたの力を尊敬し、山の王として、さらに山のすべての命を守る決意を新たにしました。
」
シータは微笑み、風のように舞いながら言いました。
「王よ、あなたの心が強ければ、どんな困難も乗り越えられる。
私はあなたの力になることができて光栄です。
」
その後もシャルマ王は、シータと共に山を治め、山の動物たちを守り続けました。
そして、山々の冬は、動物たちにとっても人びとにとっても、優しいものとなり、山の王と雪の精の伝説は永遠に語り継がれることとなったのでした。
おしまい。
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