「巨人と若者」(giant and youth)- ロシア
昔々、広大なロシアの大地には、恐ろしい巨人が住んでいました。
彼の名はヴォルヴォク。
巨人の国からやって来たヴォルヴォクは、山を越え、森を抜け、川を渡って人々を恐れさせていました。
彼は非常に大きく、力も強いため、誰もその巨人に立ち向かうことができませんでした。
ある日、若者のイワンという男の子が、家族のために食べ物を探しに森の奥へと出かけました。
イワンは家族を愛し、優しい心を持っていたため、どんな困難にも負けない勇気を持っていました。
森を歩いていると、彼は奇妙な音を耳にしました。
それは、地面が震えるような大きな足音でした。
イワンは恐る恐るその音の源を追いかけて行きました。
やがて、イワンは森の中に巨人ヴォルヴォクを見つけました。
ヴォルヴォクは木を引き抜いて山に投げ、川をせき止めていました。
その力強さにイワンは驚き、しかし、逃げることなくその場に立ち尽くしました。
ヴォルヴォクはイワンを見て、笑いながら言いました。
「お前、こんなところで何をしているんだ?
小さな人間のくせに、恐れずに俺の前に立つとはな。
」
イワンは少しも怯えず、巨人を見つめ返し、答えました。
「私は家族を養うために食べ物を探しに来た。
ただそれだけです。
しかし、あなたがこんなにも大きな力を持っているのに、なぜ人々を怖がらせるのでしょうか?
」
ヴォルヴォクは不敵に笑い、「力を持っている者は恐れられるのが当然だろう。
俺はこの力でこの世界を支配するつもりだ。
」と言いました。
イワンはしばらく黙って考えましたが、やがて心を決めました。
「力だけで世界を支配するのではなく、知恵や思いやりで人々と共に生きる方が素晴らしいと思いませんか?
」
ヴォルヴォクは驚き、目を細めてイワンを見ました。
「お前、俺に何を言おうというんだ?
」
イワンは静かに続けました。
「力を持つ者が恐れを与え、支配することは簡単だ。
しかし、みんなが怖がる世界で幸せに暮らすことはできません。
もし、あなたが力を使って人々を助け、共に平和に暮らすなら、もっと素晴らしい世界が広がるのではないでしょうか?
」
巨人は少し考え込みました。
そして、長い沈黙の後、ふっとため息をつきました。
「お前は小さな人間にしては、なかなか賢いな。
だが、俺には恐怖の力しか知らない。
」
イワンは優しく微笑んで言いました。
「それでも、あなたの心の中には優しさや思いやりがあるはずです。
それを見つけ、他の人々と共に使うことで、きっと素晴らしいことが起こります。
」
その言葉を聞いたヴォルヴォクはしばらく黙って考えました。
そして、ついに彼は頷きました。
「お前の言う通りだ。
俺もただ恐れを与えるだけでなく、もっと良いことをするためにその力を使おう。
」
それからというもの、ヴォルヴォクはその力を変えて、人々を助けるために使うようになりました。
村を守ったり、災害を防ぐために巨木を使ったりするようになり、村人たちも次第に恐れを感じなくなりました。
イワンはその後、家族を養うために多くの食べ物を持ち帰り、村の人々とともに平和に暮らしました。
そして、イワンは巨人ヴォルヴォクと友達となり、共に人々を助けながら、幸せな日々を送りました。
彼らの友情は、世界がどんなに強くても、心を開いて話すことが大切だということを教えてくれました。
おしまい。
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