「星のカラス」(The Star Crow)-デンマーク
他言語版
昔々、北の国に、美しい黒いカラスがいました。
そのカラスの羽は夜空のように深く、星のように光る小さな点々が散りばめられていました。
カラスは夜ごとに空を飛び、人々が眠るころ、そっと空の高いところへ舞い上がりました。
ある日、カラスは森の奥で小さな男の子を見つけました。
男の子は寒さに震えながら、大きな木の下に座っていました。
「どうしたの?」とカラスは優しくたずねました。
男の子は涙をこぼしながら、「僕の家はとても貧しくて、食べ物もなく、寒さに耐えるしかないんだ」と言いました。
カラスは考えました。
「私の羽にちりばめられた星の光を分けてあげられたら、この子の夜を少しは明るくできるかもしれない。
」そう思ったカラスは、くちばしで自分の羽をそっとつつき、小さな星のかけらをひとつ男の子の手のひらにのせました。
「これを大切に持っていてごらん。
きっと温かくなるよ。
」
男の子は不思議そうに光る星のかけらを見つめました。
すると、手のひらがぽかぽかと温まり、寒さが和らいでいくのを感じました。
「すごい。!
」男の子は目を輝かせました。
「ありがとう、カラスさん!
」
その日から、カラスは毎晩男の子のもとを訪れ、一粒ずつ星のかけらを分けてあげました。
男の子の小さな家は次第に光に包まれ、暗くて寒かった夜も、ほんのりと明るく温かいものになりました。
ところが、ある晩、カラスは自分の羽を見て気づきました。
もうほとんど星のかけらが残っていないのです。
「このままでは私はただの黒い鳥になってしまうかもしれない。
でも。」カラスは男の子の笑顔を思い浮かべました。
「それでもいい。
あの子が幸せなら。
」
カラスは最後の星のかけらを男の子に渡しました。
そして静かに空へ飛び立とうとしましたが、思うように羽が動きません。
光を失った羽は重く、前のように高く飛ぶことができませんでした。
「もう空へ帰れないのかもしれない。」カラスはそっと地面に降り立ちました。
そのとき、男の子が空を見上げて言いました。
「カラスさん、見て!
」
カラスが目を上げると、夜空には新しい星がまたたいていました。
小さな星のかけらを分け与えるたびに、空には新しい星が生まれていたのです。
カラスは驚き、そして嬉しくなりました。
「私の光は消えたのではなく、空に広がっていたんだ。
」
カラスは力を取り戻し、もう一度空へ舞い上がりました。
そして、これからも困っている人々に光を分けることを誓いました。
それ以来、夜空にはたくさんの星が輝き続け、世界のどこかで困っている人がいれば、カラスはそっと星のかけらを落としていくのだと言われています。
おしまい。
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