「月になったウサギ」(The Rabbit Who Became the Moon")-スリランカ
月になったウサギはスリランカの物語です。
昔々、森の中に、ウサギ、サル、カワウソ、キツネの四匹の仲良しがいました。四匹は毎日助け合いながら、楽しくくらしていました。
ある日、森の空から美しい声が聞こえてきました。
「もし、ほんとうにやさしい心をもっているなら、今日、だれかに食べものをささげてごらん。」
ウサギたちは「よし、今日出会うだれかに、ごはんをわけてあげよう」と決めました。
カワウソは川で魚をとり、キツネは町の道ばたでパンを見つけて持ち帰りました。サルも木にのぼって、甘い果物を集めました。
でも、ウサギはちいさな体で、なにも見つけられませんでした。草を食べるウサギには、人間がよろこぶごちそうはなかったのです。
そのとき、一人の旅人が森に入ってきました。実は、この旅人こそが神さまで、四匹の心をためしにきたのでした。
カワウソ、キツネ、サルは、それぞれ自分の食べものを旅人にささげました。そして、ウサギの番が来ました。
「わたしには、なにもありません。でも、もしお腹がすいているのなら……どうぞ、わたしを食べてください」
ウサギは火の中へ飛びこもうとしました。
その瞬間、空が光り、旅人が神さまの姿に変わりました。
「おお、ウサギよ。おまえの心はとても清らかだ。わたしは、おまえの思いやりを永遠にのこすことにしよう」
神さまは、ウサギの姿を月にうつしました。
今でも月をよく見ると、そこにウサギの影が見えるでしょう?
それは、やさしさと犠牲の心を忘れないように、空に描かれた物語なのです。
おしまい。
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