「月の中のウサギ」(The Rabbit in the Moon)-カンボジア
昔々、カンボジアの森の中に、優しいウサギが住んでいました。
このウサギは、とても賢く、いつも森の動物たちと仲良く暮らしていました。
ウサギの名前はポット。
彼は他の動物たちと違って、あまり速く走ることができませんでしたが、どんなときでも友達を助ける心優しいウサギでした。
ある日、村の人びとが集まり、空を見上げながら話しているのをポットは見かけました。
「月の中には、誰かが住んでいるんだって。
」と一人が言いました。
「月には、美しいウサギが住んでいるんだよ。
」と別の人が続けました。
その話を聞いたポットは不思議に思いました。
「本当に月の中にウサギがいるのだろうか?
もし本当にいるのなら、私も見に行ってみたい。
」ポットは月のウサギについての話がずっと気になっていました。
その晩、ポットは森の中でひとり、月の光に照らされながらじっと空を見上げていました。
「私は月のウサギになれるだろうか?
」と思いながら、ポットは決心しました。
「月に行く方法を見つけて、月のウサギを見てみよう!
」
次の日、ポットは山に住む賢いフクロウに会いに行きました。
「フクロウさん、どうして月にはウサギが住んでいると言われているのですか?
」ポットは尋ねました。
フクロウは静かに答えました。
「月のウサギの話は古くから伝わる物語だよ。
昔々、空の神様が動物たちに試練を与えたんだ。
神様は、動物たちに『一番優れた贈り物を持ってきて、私に捧げなさい』と言った。
そして、動物たちはそれぞれの得意なものを持ち寄った。
」
フクロウは続けました。
「ウサギは、他の動物たちが食べ物や宝物を持ってきたとき、何も持っていなかった。
でも、ウサギは神様に『私は何も持っていません。
でも、私の命を捧げます』と言って、自分の命を神様に差し出したんだ。
神様はそのウサギの優しさと勇気に感動し、ウサギを月に送り、そこで永遠に生きることを許したと言われているんだよ。
」
ポットはその話を聞いて心を打たれました。
「もし私も誰かを助けることができれば、月のウサギのようになれるのかもしれない。
」そう思ったポットは、今すぐにでも人びとや動物たちのために何かできることを探すことに決めました。
その後、ポットは村に戻り、村人たちが困っている様子を見かけました。
村の井戸が乾いてしまい、水がなくなっていたのです。
村人たちは困り果て、どこから水を手に入れようか悩んでいました。
ポットはその様子を見て、自分にできることを考えました。
「私は、月のウサギのように、何かを捧げて村のために尽くそう。
」ポットはそう決意し、村の人びとに言いました。
「私が井戸に水を供給するために、山の清らかな泉に行ってきます。
どうか待っていてください。
」
ポットは山へと向かい、険しい道を歩きました。
途中、いくつかの動物たちに出会い、助けを求められることもありましたが、ポットは一生懸命に手を貸しました。
水を運び終えたポットは、村へ戻り、村人たちに水を届けました。
村人たちは感謝し、ポットの優しさに心から感動しました。
「ポット、あなたは本当に素晴らしいウサギだ。
あなたのようなウサギが月に住んでいるなら、きっと幸せだろうね。
」
その夜、ポットは再び月を見上げました。
月の中にウサギの姿が見えるような気がしました。
ポットは微笑みながら、こう思いました。
「私も、少しでも月のウサギに近づけたかもしれない。
」
その後、ポットは村でずっと幸せに暮らし、月のウサギのように優しさと勇気を持ち続けました。
そして、今でも月を見上げると、誰かがポットのように心優しいウサギを想いながら、空を見つめていることでしょう。
おしまい。
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