「月の船」(The moon ship)- アフリカ
昔々、広大なアフリカの大地に、月のように輝く美しい村がありました。
村の名前は「ノソ」で、夜空に浮かぶ星々や月の光を大切にする人びとが住んでいました。
村の人びとは、月が夜空に登るたびにその光で村を照らし、穏やかな夜を迎えることを楽しみにしていました。
村の若者の中で、特に月に強い興味を持っていた少年がいました。
その少年の名前はタルア。
タルアは毎晩、村の外れにある小さな丘に登り、月の光をじっと見つめるのが好きでした。
月がどんな世界を照らしているのか、月の船はどこに向かっているのか、そんなことを考えながら、心の中で月に話しかけることもしばしばありました。
ある晩、タルアがいつものように丘に登ると、そこにはいつも見ていた月とは違う、輝く光が現れていました。
その光は、月から伸びるような細長い光の道でした。
タルアは驚きと好奇心でその光の道を辿ることに決めました。
足を踏み入れると、タルアはまるで夢の中にいるような不思議な感覚に包まれました。
光の道はまっすぐに空へと続き、タルアはその道を歩きながら、どこへ行くのかを考えました。
道の先には、なんと月の船が待っていたのです!
月の船は美しく、まるで星々のように輝く帆が張られており、船の上には月の神々しい光を放つ存在が立っていました。
タルアは驚き、足を止めました。
月の船の船長は、優しい笑顔を浮かべてタルアを迎え入れました。
「ようこそ、タルア。
私は月の船の船長、カイラ。
君のような心優しい者に、この船を預けることにしたのだ。
」
タルアは驚きながらも、船長の言葉に心を打たれました。
「でも、どうして僕に…?
」と尋ねると、カイラは空を指差しながら答えました。
「月の光は、いつも世界を照らし、人びとに希望を与えている。
しかし、時々その光を届けるのが難しいこともある。
君のような純粋な心を持つ者なら、月の光を世界の隅々まで届けることができるだろう。
」
カイラの言葉にタルアは深く頷きました。
そして、船に乗り込むと、月の船は静かに空を飛び始めました。
船の進む先には、広大な大地、山々、そして広い草原が広がっていました。
タルアは目を見張りながら、その壮大な景色を見渡しました。
「これが月の力が届ける光の道なのか…」タルアは思わずつぶやきました。
船は、夜空を滑るように進んでいき、タルアはその旅を楽しみながら、村々や村人たちに月の光を届けていきました。
タルアは村の上空に到達すると、船から月の光を降ろし、夜の闇を照らしました。
月の光は、村の人びとに温かさと安心をもたらし、彼らの心を穏やかにしていきました。
何日も何晩も、タルアは月の船で世界を巡り、光を届けました。
そしてついに、最後の村に到達したとき、カイラがタルアに言いました。
「タルア、君は月の光を多くの人びとに届け、心を癒した。
君が月の船を操ることができる理由は、君の優しさと無私の心にあったからだ。
だが、今度は君の心の中で月の光を輝かせ、村に戻りなさい。
」
タルアは少し寂しそうに頷きました。
そして、月の船は再び静かに夜空を飛び、タルアを村へと帰らせました。
村に帰ったタルアは、月の船のことを語りながら、月の光を大切にし続けました。
そして、毎晩、丘に登り、月の光を感じながら静かな時間を過ごしました。
タルアの心の中には、月の光がいつも輝いていました。
彼は月の光を通じて、他者を思いやる心を育て、村をさらに明るく、穏やかな場所にしていったのです。
おしまい。
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