「氷の巨人と羊飼いの少年」(The Ice Giant and the Shepherd Boy)-アイスランド
他言語版
昔々、氷の巨人が広大な氷の世界に住んでいました。
彼の体は氷でできており、周囲を凍らせる力を持っていました。
氷の巨人はとても恐ろしい存在で、誰も近づくことができませんでした。
しかし、その氷の王国には一人の羊飼いの少年が住んでいました。
少年の名前はエイリーク。
エイリークは、静かな山の村で羊たちと過ごしながら、毎日穏やかな日々を送っていました。
彼はその優しい心で村の人々に愛されていました。
ある冬の寒い朝、エイリークが羊たちを連れて山の頂上に向かっていると、突然強い風が吹き始めました。
空は暗く、雪が激しく降り始め、風の音が耳をつんざくように響きました。
すると、エイリークの前に現れたのは、あの氷の巨人でした。
氷の巨人は、巨大な足音を立てて歩き、山の雪を凍らせながら近づいてきました。
その目は鋭く、どこまでも冷たそうでした。
エイリークは怖くなりましたが、すぐに冷静さを取り戻し、氷の巨人に向かって言いました。
「あなたがどんなに大きくても、恐れません。
私はただの羊飼いの少年ですが、何かお手伝いできることがあれば言ってください。
」氷の巨人は驚いた様子でエイリークを見下ろしました。
普段なら、誰もそのように話すことはないのです。
巨人は長い沈黙の後、冷たい声で言いました。
「私には、いつも寒さがまとわりついている。
誰かが私を温めてくれれば、この寒さを感じなくて済むかもしれない。
しかし、私の力を恐れて、誰も近づこうとしない。
」
エイリークは少し考え、決意を固めました。
「ならば、私はあなたを温める方法を見つけます。
」そう言うと、少年はすぐに山の中へ向かいました。
山の奥には、温かい泉が湧き出る場所があると言われていたのです。
少年はその泉に辿り着き、温かい水を氷の巨人のもとに運びました。
冷たい氷の風の中、エイリークは泉の水を持ち帰るために何度も山を登り降りしました。
そして、ついに泉の温かい水を氷の巨人の前に置きました。
氷の巨人は驚きとともにその水を触れました。
水は温かく、巨人の氷の体が少しずつ溶け始めました。
だんだんと、巨人の体が温かくなり、冷たい感覚が和らいでいきました。
巨人は驚き、そしてエイリークを見つめました。
「お前の勇気と優しさは、私が忘れていた温もりを思い出させてくれた。
」氷の巨人は深く感謝し、少年に向かって言いました。
「お前は私の力を恐れず、冷たさを乗り越えた。
だから、これからは私が守ってやろう。
」
それからというもの、氷の巨人はエイリークの村を守り、村人たちもまた彼を恐れることはなくなりました。
少年は、巨人と共に力を合わせて、自然と調和して生きる方法を学びました。
氷の巨人はもはや恐ろしい存在ではなく、むしろ優しさを持った守護者となり、エイリークと共に山々を見守り続けました。
おしまい。
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