「王子になったサル」(The Monkey Who Became a Prince)-スリランカ
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昔々、とおい山あいの森に、大きな木がありました。その木には、百ぴきをこえるサルたちがすんでいて、かしこくて力もちのリーダーがいました。リーダーのサルは、いつも仲間を守り、みんなからとてもしたわれていました。
ある年のこと、山のふもとの国に新しい王様がたちました。その王様は「おいしい果物をすべて手に入れよ」と召使いに命じました。
召使いたちは山へ分け入り、大きな木を見つけました。その木には、まるで金色にかがやくような、みずみずしい実がたくさんなっていました。サルたちもその実を食べてくらしていました。
「こんな実は見たことがない!でも、サルがたくさんいて、取れません」
と、召使いは王に報告しました。すると王は怒って言いました。
「その木をおれのものにせよ。サルどもは、ひとり残らずとらえるのだ!」
次の日、兵士たちが弓を持って山へやってきました。夜の間に木を取り囲み、朝になったらいっせいに矢を放つつもりでした。
それを知ったリーダーのサルは、木の上からあたりを見わたし、すぐに考えました。
「このままでは仲間がやられてしまう。だが、人間の世界にも、心ある者がいるはずだ」
サルのリーダーは太いつるを口にくわえ、木から地面までぴょんと飛びおりました。そして、王の前にすわり、両手を合わせて言いました。
「人間の王様よ。わたしたちはこの森で静かに生きてきました。あなたにさからうつもりはありません。どうか、仲間たちの命をおゆるしください」
その姿を見て、王様は胸を打たれました。兵士たちに矢を下ろさせ、サルのリーダーに近づいてこう言いました。
「おまえはサルなのに、人間よりも正しい心を持っている。わたしの師となり、王宮でともに暮らさぬか?」
けれどもサルのリーダーは、にっこり笑って言いました。
「ありがとうございます。でも、わたしは森の者。仲間とともに、自然の中で生きるのが幸せなのです」
王様は深くうなずき、サルたちの木を「聖なる木」として守るよう命じました。そして国に帰ると、その知恵あるサルの話を「王子のような心を持つ者」として語り伝えたのです。
このサルのリーダーこそが、お釈迦さまの前世のお姿だったのです。
どんな姿に生まれても、正しい心と慈しみの行いは、人の心を動かすのだと教えてくれています。
おしまい。
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